『パスタ』
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、ルイズに恩義を感じる彼女が断る筈もない。
…というか、ご飯がいるなら自分が作ると言ったのだが、それをルイズは断った、作り方だけ教えてもらえばそれで充分だと。
何故、貴族である自分がそのような事をする気になったのか。
主人の手作り料理という最大の栄誉を与える事で彼をひれ伏させ改めて従える為か。
もしくは、自分の手で為さなければ彼に顔向けが出来ないと思ったからなのか。
しかし、結果は無惨なものだった。
次の日料理長が食堂にくれば激怒…いや泣き寝入りするだろう。
綺麗に整えられ清掃されていた台所は見るも無惨に荒れ果てていた。
それは、当然の結果だろう、いかにルイズが才媛でありレシピ、及び手順を一度の説明で完璧に記憶していたとしてもそれだけで料理はできるものではない。
作り直し作り直し作り直し、様子を見に来、手伝いを申し出たメイドを苛立ちから怒鳴りつけ、邪魔だと下がらせ再び作り直し、そしてまた失敗した。
それでも諦めず作り直し続けー
遂にまともな材料が残らず消えた時、漸く彼女は今が深夜であることに気づいたのだった。
「何、してるんだろ…私…」
目の前にあるもの、それを眺めながら力なく呟く。
そのパスタは自分に似ていると思った。
誰の言葉にも耳を貸さず、受け入れず
人との関わりを一切拒否して 作り上げてしまったが故に どこが間違っているのかわからない。
そして、そんな物を好んで食べるものは誰もいない。
「………………」
所詮、自分はこの程度の存在なのか。
魔法もろくに使えず、庶民が作るご飯一つまともに作れない。
こんな自分があの強大な力を持つ橘を従えるというのか。
乾いた笑いが漏れた、それは瞼から溢れそうになったものを止めるための行為でもあったが。
もういい、どうでもいい。
こんな生ゴミさっさと捨ててしまえ、こんな物に存在価値などあるはずがないのだから。
しかし、手に取り棄てられようとしたものは一人の男によって救われた。
「捨てるのか?勿体ないな」
「タチバナ…」
いつの間にかそこには使い魔の男が立っていた、思わず目を剃らす。
もし、当初の予定どおりまともなものが作れていれば、自分は堂々とこの男に感謝しろと言えたのに…!
「貴方…体はどうなのよ」
「悪くない、怪我もあらかた治ってる…すごいもんだなこの世界の魔法ってやつは」
男が手にしているものについて話をしたくなかったから、敢えて別の話題をふった。
橘はまだこの世界に詳しくないため自身の怪我の治療が所謂RPGなどでよくある『回復呪文』によって容易く治されたと考えているのだが、実際は少し違う。
無論、そういうものもないではないのだが実際はルイズが自身の身銭の大半
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