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ボロボロの使い魔
『なし得たものは』
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「なれるさ…君ならきっと」

同じ言葉を叫び、そして叶えた男を自分は知っているのだから

ー眠いー

緊張の糸が切れたせいか? 橘を猛烈な睡魔が襲う、それがなければモンモランシーが片腕を隠すように制服を着ていること に気付いていただろうが、そこまでの余裕さえない
正真正銘、心身ともにボロボロだった、限界はとうに越えていたのだから

それでも

「…ルイズ」

意識が途切れる前に伝えるべき事を言うために
橘は視線を少女に向けた
今はなにも言わず、ただ、自分を睨むかのような目で見つめている少女に




「……………………」

…何を言えばいいのだろうか
訪ねたい事はいくらでもある
『仮面ライダー』とはなんなのか
どうして無謀な決闘を受けるつもりになったのか…等
…だけど、聞けなかった、今言うべき事 それはそんな事じゃない、それはわかっている
何かを言いたい、言わなくちゃいけない
けどうまく言葉にできないから
だから、ただ見つめる事しか出来なかった

「……あ」

「ありがとう、ルイズ」

「…っ!」

何故、橘が私に礼など言うのか

「君のおかげで…どうにかなった…悪かったな、心配させて」

「心配なんかしてないわよ…私は…あんたの事なんか全然心配したりなんかしてなかったんだか ら!」

「…そっか」

何故、そこで笑うのか
まるで、見透かしたかのような彼の穏やかな笑顔に、どうしようもない居心地の悪さと焦燥を感 じる

「わかったような顔をしないでよ!…何も知らない癖に!…何も…本当はわかってない癖に!」

自分独りで勝手に思い込んで決めつけて
この男はこんなにボロボロになってまで一体何がしたかたったんだろうか
『私なんかの為に』
何故、そこまでしたのだろうか






そうだな、俺はまだ君の事をよく知らない
だけど、君が『いいやつ』だということくらいはわかったつもりだ
だから、ゆっくり話をしよう、お互いを理解するために 俺たちはパートナーなのだから

それを言葉にしようとしたその瞬間、橘の意識は途絶えた
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