第一章
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第一章
春から秋に
雪がようやくなくなりだった。そこにあったのは。
まだ水の張っていない田だった。それを見てだ。
お爺さんとお婆さんはこれからという顔でお互いに言い合った。
「それじゃあな」
「今年もですね」
「ああ、はじめるか」
「そうしましょうか」
こうだ。二人で言ってであった。
この日からだった。すぐにだ。
田に水を入れた。まずはそこからだった。
そうしてそこにだ。今度は。
「婆さん、田植えのあれな」
「あの車ですね」
「調子はどうだ?」
お爺さんは田植え用の車のことをお婆さんに尋ねた。
「何か去年は調子が悪かったが大丈夫かい?」
「ああ、あれですね」
「そう、あれな。どうだろうな」
「ちょっと修理に出しておきましたよ」
お婆さんはお爺さんにそうしたと話す。背は少し曲がっているが声はしゃんとしている。お爺さんは白髪でも動きはきびきびとしている。
そのお爺さんにだ。お婆さんは言うのである。
「ですから」
「じゃあもう大丈夫かい」
「そう思いますよ」
「よし、わかった」
ここまで聞いてであった。お爺さんは。
家の納屋からその田植えの車、それに苗をビニールハウスから出してだった。
まずは田の苗を車に備え付けてだ。家から田んぼまでだ。
車で移動してそのうえで。水田の中を進んでだ。
苗を次々に植えていく。車を使っているので速い。
お爺さんのその仕事を見ながら。お婆さんが言ってきた。
「車で行けないところはですね」
「ああ、婆さん頼むよ」
お婆さんにだ。植えてくれというのだ。
「いつも通りな」
「はい、わかりました」
それでいいとだ。おばあさんも言葉を返す。
「それじゃあそうさせてもらいますね」
「頼んだよ」
「ええ。また今年も」
どうかとだ。お婆さんは話す。
「はじまりましたね」
「ああ、はじまったよ」
お爺さんは苗を植えながら明るい声で応える。
「田んぼがな」
「毎年。こうしていって」
「お米が食えるからな」
「そうですよ。後は」
米だけではなかった。他にもだった。
「胡瓜に大根に」
「そしてトマトに」
「西瓜もありますよ」
野菜もだ。あるというのだ。
「あとあぜ豆も植えて」
「それもあるしな」
大豆のことだ。田のあぜ道に植えるからあぜ豆というのだ。
「色々とな。今年もな」
「忙しいですよ」
こう笑顔で言い合いだ。そのうえで。
二人は田を植え畑を耕しだ。その畑に。
種を撒いていく。そして肥料も用意してだ。
野菜も作っていくのだった。二人はかなり忙しかった。
その農作業をしている二人にだ。近所の中年の農家の人がだった。
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