第一部 vs.まもの!
第16話 いこうぜ。
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ン無視されたし」
「何か知らんけど、なんてよく言えたものだわ。そんなの理由は明らかじゃない。あなたの事が嫌いだからよ」
「ぶはっ」
ウェルドは苛立ちを誤魔化すために敢えて笑った。
「ストレートに言ってくれるぜ」
「当たり前でしょ。いきなり殴りかかってきた相手を好きになれるわけないじゃない。残念だったわね。危ない所を逃がしてくれる程度まで仲良くなれたっていうのに、一時の癇癪のせいで全部おじゃん」
「いや、それは……。俺だって悪かったとは思ってるけどよ。酔ってもいねえのにやりすぎた」
「自分に酔ってたじゃない」
ウェルドは頭をかきむしった。
「……あんたには勝てねぇよ。で? 今から遺跡行くのか? だったら」
「お誘いだったら、お断りよ。あたしだっていきなり殴りかかられたらたまらないもの。それに、生憎あたしはお酒を買いに行くだけなの。じゃあね」
手をひらひらさせて、イヴも出て行った。
ウェルドも仕方なく町に出た。
適当にぶらついていると、パスカ達五人と一夜を明かしたあたりの区画に出た。あの時は全く気付かなかったが、牛が飼い葉を食む音や、アヒルの鳴き声がのどかに聞こえる。畜舎が近いのだ。それらの音に紛れて人の声が聞こえた。
「なあ、もうやめようぜ」
見覚えのある先輩冒険者ドレスティが、地べたに這いつくばっているネリヤの横にしゃがみこんで宥めていた。
「こんな事したって何にもならねえよ……」
「あんたにはわかんないわよ」
彼女は泣きながら、何かを探している様子だった。
「あの子がどんだけあの指輪を大事にしていたか。バイレステ人のあんたには、ありふれた、どこにでも売ってるような代物でしょうがね。トラドアから来たあたし達にはたとえ類似品だってもう一生手に入らない思いでの品なのよ」
「でもよ……ここに落ちてるとは限らねえじゃん。まさか町中探すのか? 諦めろよ。そんなの無理だって」
「黙って」
「もう砂の中に埋もれちまったかもしれないぜ?」
「うるさい」
「井戸に落ちたかもしれねえし」
「黙って!!!」
ウェルドは居たたまれなくなって踵を返した。狂戦士に対する怒りは、それが理不尽な感情であっても、消えそうになかった。
四日目、事件から最初に遺跡に潜ったのはレイアだった。彼女の事情はわからぬが、何か急いで済まさなければならない用事がある様子で、「私は一人でも行く」と言うレイアを放置できずにエレアノールもついて行った。二人は大概いつも一緒だった。彼女らの背を追うように、シャルンがアッシュと連れだって遺跡入りした。
数日して、事件後初めて嬉しいニュースが新人冒険者の宿舎にもたらされた。パスカ、ジェシカ、ルカの三人組が太陽の宝玉を見つけたのだ。
「ノエル」
その翌朝。ベッドにしょんぼりと腰掛けてう
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