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魔王の友を持つ魔王
§55 狂信者の暴走
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ートであること位、調べればすぐにわかりますので」

 認知は護堂に任せれば良い。彼が黎斗は魔王であると言えば、それは事実として世に広まる。東京の騒乱も、カンピオーネが全てあの場に居たせいで情報が錯綜しすぎていた。黎斗の動きも全てデマとして捉えられても可笑しくは無い。

「これは、そういうモノ。黎斗さんの偽王という有りもしないレッテルを剥がそうと必死になった魔術結社数社の陰謀です」

 これで黎斗を打倒出来れば、正史編纂委員会は偽物の魔王を擁立したとして世界中から叩かれる。勢力は激減し、護堂の周囲に日本人を侍らせにくくなる。それは、草薙護堂とのパイプをつくることへの妨害をしてくるであろう最大勢力を潰せるという事。そして、日本における委員会の立場を根本から破壊することが出来る。

「万が一失敗しても、一部の魔術結社の独断、ですみます。ですので他の魔術結社は静観という手を取るでしょう。――勿論、形だけでも救出に動くでしょうが」

 媚を売る為に行動しようとしても、黎斗は正史編纂員会との繋がりが深い。媚を売っても無駄と考えられたのかもしれない。何結社か奇特なところが動いてはいるものの、多勢に無勢な状況で攻めあぐねている、といったところらしい。

「なる、ほど」

「ウチのエージェントで護衛させていたのですが……本当に申し訳ありません」

 甘粕の言葉を流して、黎斗は彼の方を向く。

「甘粕さん、誰でも良いので現地の方に電話つなげますか?」

「は、はい。只今」

 差し出された携帯電話を持って、通話口に語りかける。

「すいません。外の雑草に受話器向けてください」

 向けた気配を確認して。

「聞こえる?」

「……」

「そう。良かった。言付けお願い。魔術結社? 人間がニュースにしてる爆発事件があるんだ。そこの現場から避難して欲しい」

「…………」

「ごめん、時間はよくわかんない。だけど、数分後位には攻撃を開始したいから。大変だろうけど、頼める?」

「……そっか、ありがと。受話器の人にもう大丈夫って伝えておいて」

 草木に言うだけ言って、電話を切る。

「電話の人にお礼を伝えておいてください」

 コートを着る。外寒いし。窓を全開に。

「――――来い」

 念じれば、眼前に巨大な鉄の塊が現れる。昏く輝き、流線型をした鋼鉄の鳥が。

「ッ!?」

「何それ!!?」

 呆然とする甘粕と恵那に向けた返答は簡素な一言。

「神飛行機……いや、神機といったほうがわかりが良いかな?」

 獣ですら、神の使いとなれば災厄といっても過言ではない力を有する。では機械が、神の使いとなればどうなるのか――?

「留守任せるわ」

「今度こそ、恵那も!
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