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ミッドナイトシャッフル
第三章
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第三章

 その揚げを食いながらだ。俺は言った。
「それこそヤクだってな」
「大丈夫よ。全部のお店に防犯カメラ置いてるから」
「だからか」
「そう。お店の中は安全よ」
 妹は御飯を食いながら俺に言ってくる。
「本当にね」
「だったらいいんだけれどな」
「行く来に寄り道もしないし」
「すぐに駅にか」
「そう、まっすぐに表の道を歩いてるしね」
「だったらいいんだけれどな」
「そう、大丈夫よ」
 本当に能天気に俺に言ってくる。
「何もないからね」
「だったらいいんだがな」
「何もないから」
 また俺に言いながらだ。それでだった。
 今度はだ。俺にこんなことを言ってきた。
「ところで食べた後だけれどね」
「ああ、何だよ」
「お酒にする?それともケーキにする?」
「ケーキ買って来たのか?」
「そう、駅前のお店でね」
 俺達の家の最寄の駅のところでだった。丁度美味くて安いケーキを売っている。そこでだというのだ。
「チョコレートケーキ買って来たのよ」
「そうか。チョコレートケーキか」
「お兄ちゃん好きでしょ」
「ああ、それじゃあな」
 俺も頷いて。それでだった。
 俺はこの日はケーキを食った。ケーキは美味かった。けれどだ。
 やっぱり妹が心配だった。そんな中でだ。
 また夜にだ。新宿署に電話が来た。
 その電話を受けた先輩がだ。応対の後で俺と他何人かの同僚に言ってきた。
「何か洒落にならない酔っ払いが暴れてるらしいぜ」
「また虎ですか」
「暴れてるんですか」
「ああ、それも何人もいてな」
 酔っ払いは一人とは限らない。何人もいる場合もある。
 それでだ。今回はだった。
「ナイフやらチャカ持ってるらしいな」
「えっ、チャカですか」
「そんなのまで持ってるんですか」
「本物かどうかわからないし実際に持ってるかもわからないけれどな」
 それでもチャカと聞けば穏やかではいられない。洒落になってない。
 それでだ。先輩は真剣な顔で俺達にこうも言った。
「いざって時はな」
「ええ、発砲もですね」
「仕方ありませんね」
「さもないと市民に犠牲者が出るからな」
 それだけは許しては駄目だった。流石にだ。
 警察の仕事は市民を守ることだ。それができない警察は存在している意味がない。
 俺はいつもそう考えてるし先輩もだ。だからこそ俺達に言ってきた。
「だからな。その場合の責任は俺が取る」
「それに署長がですね」
「そうしてくれますね」
 うちの署長はキャリア組でも何処か違う。責任は俺が取るからと言って俺達にどんどんやれと言ってくれる。実際に何度か責任を取らないといけない状況があったがその都度責任は取った。そういう人だ。
 だからだ。俺達も安心して働ける。それは今回もだった。
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