『かみあわないもの』
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な錯覚を見ている者達に与える程なのだ
だが、それも長くは続かない
程度を見切った彼は足を止め構える 当然、自身を狙い打ち込まれるワルキューレの剛腕
しかし
「…嘘、だろ…おい」
観客の一人が呆然と呟く
まるでそこにいるもの全ての感情を代弁するかのように 何と彼は、左の手のひらでワルキューレの拳を受け止めたのだ
無論、橘とて全く平気という訳では無い
だが、時速150Kmのスピードボールを素手でキャッチし続ける事で鍛え上げられた彼の腕なら
出来る…出来るのだ!!!
その常識を遥かに越えた現象を認める事が出来るのは、彼を知る者以外には難しい
同様に唖然としたギーシュ
一瞬、コントロールを失い動きを止めるワルキューレ
そして橘はその隙を見逃さなかった
左手を外し、右手で首にあたる部分を掴み
同時に腰を沈めながら足を引っ掛け、転ばせる
自重のせいですぐには起き上がれないワルキューレ
だが、ワルキューレが立ち上がるより遥かに早く橘は走り、向かっている
未だ呆然としている、何の護りも無いギーシュに向かって
最初からこれが狙いだった
如何に橘とはいえ生身の拳で青銅を砕き割る事は難しい しかし、その護りを失ったギーシュ本人なら話は別だ
距離を詰めさえすれば、杖を奪い組み伏せる事など容易い
「この距な…っ!…何っ!?」
思わず目を疑う
自身とギーシュ、その後僅かな隙間を埋めるかのように出現した2体目のワルキューレ
その咄嗟の『錬金』は、殆ど無意識の内に行ったものであり
まさに『運がよかった』としか言えない程にギリギリのタイミングだった
その運と結果が 橘に深刻な事態を
ギーシュに再び余裕を与える
「…ぐぅっ!」
偶々だろうとなんだろうと、青銅の一撃をまともにくらったのだ
それも自身の勢いと合わせてカウンター気味に
流石の橘も、何ともないぜとは叫べない
全身に響く激しい痛みを精神力だけで無理矢理抑え、よろめきながらも何とか立ち上がる橘が目 にしたのは更に絶望的な状況だった
ギーシュの前にワルキューレが更に五体
「たいしたものだね使い魔君、そんな君に敬意を評して、僕の全力を見せてあげるよ」
その表情は『敬意』などとは程遠い 無力と侮った平民に追い詰められ、一瞬とはいえ与えられた恐怖と焦りは既に怒りと屈辱に変 わっている
同じ轍を踏まないためにか自身の側に二体を残し、残りの五体で橘を囲ませる
痛烈な一撃をくらい、動きの鈍った今、その囲いを抜け出す事は不可能だった
眼前に立つワルキューレの剛腕を、それでも何とかかわす
だが、続けて放たれた背後からの攻撃をまともにくらい、再び橘は地面を転がった
その様子を、少
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