憎悪との対峙
21 崩れていく社会
[2/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
は自分自身、常人以上の力を持って簡単に傷つけてしまう自分の本性だった。
先日の虐殺の時もそうだった。
怒りを武器にかつての同級生たちを殺していく中で憎しみよりも快感が勝っていく。
心は信じられないくらい痛み、胸が張り裂けそうだというのに、呆気無く今まで自分を苦しめてきた人間たちが倒れていくことに愉悦を覚えていた。
そして今日、先程までにスターダストとしてValkyrieという名の悪と戦い、力に酔いかけた。
「僕が...」
そしてブライノイズとなり暴走してジャミンガーを倒しながらも、意識の奥では何処かゲームのような感覚が体に残っていた。
そんな悪に染まっていく自分、人が苦しむのを見るのが楽しくなっていく自分、敵を無慈悲に潰していく自分の力に恐れを抱いてたのだった。
「これじゃ...何も変わらない...何も変わってない....」
紺碧の闇での修行で自身の恐怖は克服したと思っていた。
暴力を振るうことへの恐怖、暴力という行為への恐怖。
しかしそれを通り越して振るった後の自分への恐怖へと変貌し、再び自分に襲いかかってきた。
「もう...アァァァ....」
胸の動悸が収まらず、思考も恐怖で停止し、ブライノイズは冷たい雨に打たれながら意識を失った。
「うわっ!?」
時刻は10月28日午前7時、光熱斗はベッドから落ちたことによって目を覚ました。
しかし時間的には休日の熱斗の起きる時間帯ではない。
普段なら午前1時までゲームをして午前10時、酷ければ午後まで寝ているというのが常だった。
おかしな夢を見たのだ。
それでこそ悪夢としか言いようのないものだった。
『おはよう熱斗くん、早いね』
「あぁ...ちょっとヒデェ夢を見た」
熱斗はゆっくりと体を起こす。
『熱斗くんも...?』
「...ロックマンも?びっくりだな、やっぱりオレたち...兄弟なんだな....オレたち」
何となくロックマンと熱斗はお互い見た夢が同じものだったと感じた。
自然と微笑が生まれるが、すぐに笑いが消えた。
夢の内容はまるで自分が自分でなくなったかのような、現実ならば耐え切れないものだった。
激しい痛みと伴う暴行、周囲全てから嫌われ陰口に必死に耐えて何事もなかったかのように振る舞いながらも、誰にも助けてもらえない、誰にも理解されない苦痛と恐怖に襲われるという夢だった。
そして遂には自分に危害を加える存在を全てねじ伏せ、恐怖の対象がそんな強大な力を持った自分自身へと変貌する。
雨の中、必死に走って力尽きた。
恐れの対象が自分自身である以上、逃げられるわけがない。
走ろうと飛ぼうと動けば自然とついてくるのだ。
『
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ