番外10話『トトもの』
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らいできるでしょう、平気よ」
「そうかね、どうせまたトラブルしょって帰ってくるんじゃねぇか?」
ナミとゾロが木の柵に体をもたれかからせたままリラックスした様子で答えたのだが、他のメンツからの返事はない。ビビはサンジの問いになんと答えるのが良いかという苦笑を滲ませていたし、チョッパーは「おれ小便いってくる」と既にトイレに向かっていたからだ。
皆それぞれの反応を見せつつも、やはり砂漠歩きで来たというわけあって全員リラックスした態度で体を休めている様子は共通している。なにせここは既に敵の本拠地で、いつ戦闘が起こってもおかしくはないという場所だ。戦闘がある前に一息を入れるのは当然と言えば当然だろう。
全員が息を入れている中、ただし一人だけ鬼気迫る表情をしている男がいた。
「……まずいな」
ハントだ。
どこか血走った目で周囲を見回している。
それに、ナミが気付いた。
「どうしたの?」
「……ん、ああ」
「?」
ナミの問いにもどこか上の空で、よく見ればハントの顔色が普段のそれよりも悪い。
「大丈夫?」
ナミが心配そうにハントの側へ近づこうとするのだが、それをハントは「だ、大丈夫」とやはり辛そうな声とともに遠ざかり、拒否の態度を見せた。近づいてくるナミから遠ざかるというハントにしてはありえない態度に、さすがにナミ以外の面子もその異常な態度に気づいた。
「ハントさん、本当にどうしたの?」
「なんかあったか?」
ナミだけでなくビビとゾロも怪訝な顔で尋ね、サンジも無言で不思議そうな視線を送り、そして心なしかラクダの『マツゲ』もハントへと視線を送っている。買い出しのウソップとルフィとトイレのチョッパーというここにいない面子からの視線はさすがにないものの、ここにいる面子全員から注視されてついにハントもため息をつき、観念した。
「……実は、さ」
「……」
ナミを始め、全員がごくりとつばを飲み込んだ。珍しいハントの真剣な表情に、もしかしたら既になにか大事件が起きているのかもしれないという嫌な憶測が彼らの中に渦巻き、自然とハントの次の言葉を待つ。
どこか厳かな空気すら流れ出した彼らの空間で、ハントはついにつぶやいた。
「漏れそうだ。けつから……うん――」
「――てめぇ、レディの前で何言おうとしてんだ!」
確かにハントから放たれた言葉はある意味で衝撃的で、慌ててサンジがそれに割って入った。
「いいから行ってきなさい! 5歳児じゃないんだから!」
ナミもまるでお母さんのような口調でトイレのあるであろう方向を指さす。
「お、おう……悪いな、なんか」
おそらく走ると危ないのだろう。
そういう速度で歩き出した彼に、一同がため息をついて、甚平
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