番外10話『トトもの』
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がビビに気づき、ビビもトトに気づくことになった。
誰よりも国王コブラを信じる男が言う。
「私はね、ビビちゃん、国王様を信じているよ……あの人は決して国を裏切るような人じゃない! ……そうだろう!」
反乱軍リーダー『コーザ』の父親は言う。
「反乱なんてバカげてる! ……あのバカどもを……頼む、止めてくれ! ……もう、君しかいないんだ!」
アラバスタを愛している男が言う。
「次の攻撃で決着をつけるハラさ、もう追いつめられてるんだ……死ぬ気なんだ!」
息子を愛し、国を愛し、国王を信じ。
だが、自分にはどうすることもできなかった男が、あらゆる感情をあふれさせた涙を零しながら言う。
「頼む、ビビちゃん。あのバカどもを止めてくれ!」
言葉とともに、砂の地面へと膝から崩れ落ちた。
トトの思いのこもった言葉に、ビビは「トトおじさん……心配しないで」とハンカチを差し出す。
顔を上げたトトへと――
国王の娘である王女として、国を愛する一人の国民として、父の無実を知る一人の娘として、コーザやトトの友人として、そしてアラバスタに起こっている真実を把握している唯一の国民として。
「反乱はきっと止めるから!」
――ビビは笑う。
「……強い」
その姿をみていたハントが、誰にも聞こえない声で漏らした。
航海中、メリー号の船の中でもビビが反乱を止めることに対して並々ならぬ思いを抱いていたことは、いくら鈍いハントでもわかっている。
数十万という人命をその小さな双肩で背負い、それに押しつぶされないように前だけを向いてここにまで来たことも、もしも反乱軍を止めることが出来るのならば自分の命すらも惜しまないほどの覚悟をもっていることも、そして誰よりも真の黒幕であるB.Wに対して悔しい思いを覚えていることも。
それら全ての思いを、多分トトからの懇願によって直接に感じている。
トトのありようにもハント自身少なからず思うところがあるのだが、今はそれよりもビビが笑って見せたということに対しての驚きに内心を占められていた。
ただただトトを安心させるための笑顔。あらゆる思いを包み込み、ただただ一人の人間のために向けられた笑い。
普通の人間には、少なくともハントにはできそうにない行為だ。
――ビビも強いなぁ。
彼女もまたルフィやゾロのような輝く強さを持っている。
今にも壊れそうなその強い笑顔に、ハントは尊敬の眼差しを送るのだった。
「――オレは暑いのダメなんだ!」
「おういい度胸だな! 誰だ今俺に吹っかけてきやがったのは!」
「あんたたち仮眠の意味わかってる!?」
「勝負だクラー!」
明日に備えて宿に宿泊することになった彼
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