第十一章 追憶の二重奏
第七話 前へと
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主張する!
……それでも姿勢は正座のまま。
微妙にチキンである。
「当たり前だっ! ただ俺はびっくりさせようと思っていただけで、別に覗こうとしたわけではない。つまりそうっ! あれは事故なんだ! だからその点を配意して―――」
「扉には鍵を掛けていました」
舞台役者のように両手を大げさに動かし必死に自分の無罪を主張したいた士郎だったが、セイバーの一言で電池が切れた玩具のようにピタリと動きが止まる。両手を広げた姿のまま扉
を開いた時の事を回想し……。
「……」
そう言えば扉を開ける時、抵抗があったような気が……。
「言い訳はそれだけですか」
「まっ、待てっ! ちょっと待ってくれっ!! 確かについ勢いのあまり鍵を壊したのは事実だが、だからといって俺が覗こうとしていたとは言えないはずだっ! 俺はあの時テファが着替えているとは知らなかったわけであり―――」
「あなたならば扉越しでも、中の相手が何をしているか等、音や気配だけでも気付けた筈です」
「―――ッ!? そ、それは……」
「それでは処刑を始めましょうか」
「まっ! 待ってくれっ! べ、弁護士を呼んでくれっ!! お、俺は―――」
セイバーが大上段に振り上げたデュランダルの刃が窓から差し込んむ夕日にギラリと血のように赤く輝く。
刃が反射させた光がセイバーの顔を隠し、彼女が今どんな顔をしているか士郎には伺い知ることは出来ない。
セイバーは今、怒っているのか悲しんでいるのか、それとも笑っているのか……。
衛宮士郎には知ることは出来ないでいた。
そして、士郎の訴えも虚しく、
「俺は無実だああぁぁぁ〜〜〜ッ!!」
死の宣告は無情にも振り下ろされた。
「ちゃんと反省したのですか?」
「死にたくはないからな」
「あれはただの冗談です。あの程度でむくれるなど子供のような真似はやめたらどうですか」
「……デュランダルを薄皮一枚挟んで突きつけられながら笑って許すような奴がいるのならば、是非この目で見てみたいものだな」
薄皮一枚どころか実際はギリギリ切れていた。
それが偶然か故意なのかは……考えないことにしている士郎であった。
「でもあれ、シロウが悪いと思うわよ」
「くっくく。まあ、事故とはいえ、嫁入り前の女の裸を見たんだ。どんな事情があったとしても、ああ言うのは見た奴が悪いんだよ」
「それは分かってる。だからテファには土下座でしっかり謝っただろ」
「ふんっ……シロウのスケベ」
「……エッチ?」
テーブルをはさんで向かいに座るティファニアの胸を見たタバサは、静かに自分の平坦な胸を見下ろし両手を胸に当てると微かに肩を落とした。何時もの無表情がどことなく悲しげに見
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