第十一章 追憶の二重奏
第七話 前へと
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った。
「ん。いるようだな」
扉の前に立った士郎は、中に人がいることを気配で悟ると、ノックをしようと手を持ち上げた。
しかし、突如として胸の内に「どうせなら驚かしてみたらどうだろうか」と言う思いつきが生まれその手を振り下ろす前に止めてしまう。
そう……思いついてしまったのだ……手を……止めてしまったのだ。
―――それが―――自分の―――命運を―――決めるとも―――知らずに……。
口元に悪戯めいた笑みを浮かべた士郎は、ノックのため持ち上げた手をそのままドアノブに向けると、
「久しぶりだなテ―――」
一気に力を込めて扉を開き。
そして、
「…………は?」
「え?」
―――固まった。
士郎の視線の先。
そこには確かにこの家の主であるティファニアの姿があった。
金を煮溶かし細く伸ばし造り上げたかのような黄金色の髪。
触れることさえためらってしまう程白く滑らかでありながら、確かな温かみと柔らかさを感じさせる肌。
最高級の翡翠さえも霞む美しい瞳。
神々が苦心の末ようやく辿り着いた巨乳でありながら細いという矛盾でありながら矛盾していない一種の神秘とも言える身体。
窓から差込む赤く染まった光りが白い肌で反射され、まるで熱に火照ったかのように全身が淡い赤に染まり、それが異様に艶かしい。
染みどころかホクロさえ見あたらない、その大理石の如く白くすべらかな肌。
これぞ至高と断言できる程の完璧を備えた巨乳の頂点に座す淡く桃色に色付く小さな果実。
スラリと長く細い足の始まりに有りし女体の神秘を隠す淡い黄金の草原。
「―――き」
つまり、
「き、き」
どういうことなのかと言うと、
「きき、き」
―――つまるところティファニアは裸であった。
「きゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ!?!?!?」
「さてシロウ。慈悲深い私はあなたに選択の余地を与えます」
床の上に正座で座る士郎の前で、突き立てた絶世の名剣の柄の尻に両手を乗せ仁王立ちするセイバーが微かな笑みを口元に浮かべながら問いかけてくる。
「―――どのような最後を望みますか?」
―――処刑の方法を。
「―――まてセイバー。まずは弁明をさせてくれないか」
「必要があると?」
片手を前に出し「待ってくれと」頼む士郎に、仮面のような微笑を貼り付けた顔をコテリと横に傾け疑問符を浮かべるセイバー。
その姿と雰囲気により「これは真剣で命の危機」であると直感した士郎は、床に拳を叩きつけながら声高に
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