第十一章 追憶の二重奏
第七話 前へと
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それに縋っていると自分でも分かっている。
だって、仕方がないじゃない。
シロウの隣に立つにはそれぐらいの力がなきゃいけないから。
何時も何時も危険も何も省みることなく飛び込んでは心も身体も傷だらけになるシロウ。
だから、そんな彼を支えるために……守れるように隣に立とうと思った。
でも、それには……どうしても力が必要なのだ。
―――なのに。
今のわたしにはその力がない。
……そして、そういう時に限って嫌な事は続いてしまう。
今朝見た夢。
その夢にはシロウがいた。
背の高さや髪の色どころか肌の色さえ違っていたけど、それは間違いなくシロウだった。
黒と白の双剣を持って戦うシロウの隣には……彼女がいた。
蒼い甲冑を身に纏い、黄金の剣を振るう騎士。
その姿をはっきりと捕らえた……騎士は……彼女だった。
背を合わせ迫り来る敵と戦う二人。
それは、わたしの理想だった。
互いを完全に信頼し、支え、補い、高め合う二人の姿を見て……わたしは……怖くなった。
―――もし。
もし、今、わたしが現実で彼女とシロウが共に戦う姿を見てしまったら折れてしまいそうで……。
それが、何なのか自分でも分からない。
自信?
決意?
理想?
……分からない。
だけど……だからこそ……怖い。
ただ……ただ……怖い。
太陽が地平線の向こうへと沈みだす直前、士郎たち一行は何とか目的地であるウエストウッドの村に到着することが出来た。
「さて、何とか無事に辿り着くことが出来たな」
「……無事?」
「……一部を除いてね」
森に一部ぽっかりと開けた空間に立ち並ぶ簡単な造りの小さな家々を見回し、士郎が安堵の吐息と共に頷くと、隣に立つタバサとロングビルが小さく首を傾げると背後を見る。
「―――っ、は、っく、ひぃ」
「―――ふぇ、ふぅ、はひぃ」
そこには地面に両手と両膝を着き、大地に荒い息と多量の汗を降らせるルイズとキュルケの姿があった。
そんな二人を背に、頬にタラリと汗を流しながら士郎はウエストウッドの村の入口の一番近くに建てられた家に顔を向ける。そこが今回の目的地であるティファニアの家であった。時間からして丁度夕食時であるためか、藁葺きの屋根から煙が空へと登っていくのが見える。
タイミングが良かったなと思いながら、士郎は背中に背負った荷物を抱え直すとティファニアの家へと向かって歩き出す。それにタバサとロングビルが続き、呼吸を整えたルイズとキュルケが後を追
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