激戦開幕
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、それを広げる。
地図が丸まるのを防ぐために四隅をどこからか取り出したナイフ4本で留め、ピッと一か所を指さした。
「誰かペンを持っていないか?」
「オイラ魚しか持ってないよ」
「ペンならあるぞ、ほら」
「感謝する」
顔を上げたヴィーテルシアに、アルカは黒インクのペンを差し出す。
このペンは多分、先ほど女性に頼まれサインした時に使ったのだろう。
それを受け取ったヴィーテルシアは器用に右手だけでキャップを取り、指さす場所を丸で囲む。
「ここは?」
「カトレーン所有の土地だ」
『!』
首を傾げたルーシィにヴィーテルシアが答える。
その答えに思わず全員が目を見開いた。
「この土地の西部分、街中からも見える高い塔。そこが血塗れの欲望の本拠地だ」
「そういえば、確かに塔が・・・」
「闇ギルドの本拠地に見えねぇから見落としてたが・・・」
ガシガシとアルカは頭を掻く。
「バラム同盟の一角を担うようなギルドだ、きっとここ以外の拠点も持っているだろう。だが・・・今はここに集結している」
はっきりと断言するヴィーテルシア。
ルーが新しいメロンパンの袋を開けながら首を傾げる。
「何でそんなに断言出来るの?」
「簡単な事だ。奴等はカトレーン側の人間、そして今奴等側にはティアがいる。それなのにカトレーンから離れる意味がない。白昼堂々私達のギルドに現れてまで連れ帰ろうとしたティアを放っておく理由がないだろう」
血塗れの欲望は闇ギルドだ。それも、バラム同盟の一角を担う程の。
そんなギルドが白昼堂々正規ギルドである妖精の尻尾に現れたという事は、それほどの危険を冒してでもティアを連れ帰りたかったという事。
ならばティアから離れるとは考えにくい―――ヴィーテルシアはそう考えていた。
「奴等の目的が何なのか、何故今になってシャロンはティアを連れ帰ろうとしたのかまでは解らない・・・だが、奴等があの場所にいるという事は、私達は奴等を潰さねばならないんだ。ティアを助ける為に」
「・・・だな」
頷いたのはアルカだった。
全員の視線がアルカに向く。
カトレーンを敵に回すという事は、クロスにとっては自分の家族を敵とするという事。
それと同じで、血塗れの欲望を敵に回すという事は、アルカにとって両親を敵に回すという事なのだ。
「一応言っておく・・・もしオレの親父と戦う事になっても、手ェ抜く必要はねぇ。アイツは親じゃなく、闇ギルドの人間だ。そう扱ってくれて構わねぇ」
「でもっ」
「オレはアイツを親だとは認めねー・・・絶対にだ」
ルーの言葉を遮って、アルカは告げる。
漆黒の瞳に、力強く猛る紅蓮の炎を
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