『戦う理由』
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ヴァリエールが? 信じられない、偶々ではないのか
だとしても、それは橘が戦う理由になってはいない
「貴方!図書室でいっぱい本を読んでたわよね、常識を知りたいって!」
「ああ…お陰で色々わかったよ、貴族と平民についてもな」
「だったら…!」
「悪いが、俺はそのルールに納得するつもりがない、平民の一人として『魔法』が力の全てじゃ ないって事を、あのギーシュって子に教えてやるつもりだ」
「……!」
『魔法が力の全てでは無い』
それは、かつて彼自身が言った言葉であったはずなのに
「っ!…あいつも…あいつだって…前は!」
出会った頃は優しかったのに
その言葉で自分を励まし慰めてくれたのに
「?…知り合いなのか、彼と」
「そうよ…昔は優しかった!あんな奴じゃなかったのに…!」
こんな事を今日初めて会った彼に言っても仕方ない、そんな事はわかっている
だが、変わっていく彼を止める事が出来なかった無力感が、憤りが
それを抑える事を許さず叫ばせた
「ギーシュは言った!言ってくれたのよ!魔法が全てじゃ無いって私を慰めてくれた!…なの に…なのにっ…!」
後は、言葉にならなかった
「…そうか」
正直、今日初めて二人を知る橘に、彼等にどんなやりとりがあったかどんな関係であったのかな ど、深く理解できる筈もない
だが、男の変貌を嘆き、心配する少女の姿は橘の内にある苦い記憶を揺り動かした
「君は、好きなんだな…彼の事が」
その、あまりに不躾な橘の問いに、少女は小さく、だが確かに頷く
…それだけで充分だった
「君…、君の名前を教えてくれないか?」
「…モンモランシー…『香水のモンモランシー』よ」
「俺は橘、橘朔也だ」
彼に、その自覚は無いが、この世界で彼が名乗るのはこれが始めてである
「モンモランシー、彼の事は俺に任せてくれ。君は彼を信じて待っていればいい。」
「…え?」
そう言い残すと、橘は歩き出す
ルイズが怒鳴りながらも教えてくれた決闘場へと
モンモランシーには理解できない
何故、彼は戦おうとしているのか
勝手にしろと言ったルイズの為に
使い魔だから
それが義務かもしれない、使命かもしれない
だが、ならば今日出会ったばかりの自分のために動こうとしている彼の戦う理由は一体何なのか
彼の背に向け問いかける
「貴方が戦う理由は、一体何なの!?教えて…タチバナ!」
「理由…か」
戦う理由
後輩の言葉が蘇る
苦笑した、俺はあいつとは違う
あいつの用に純粋な生き方は出来ない
俺に、人を愛しているなど言う資格は既に無い
ただ、守りたいと思った
ルイズが
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