暁 〜小説投稿サイト〜
ボロボロの使い魔
『相互理解』
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「…何か用?」

「ミスタ・コルベールがこれを…」

見るからにに不機嫌な顔のルイズに、おどおどしながらメイドは布に包んだそれを手渡した

訝しながら包みを開けたルイズは、中身を確認し、やはり怪訝な顔をした

「何コレ?」

入っていたのは『絵』と『箱』

「ミス・ヴァリエールの使い魔の方にお返しするよう、仰せつかりました」

「…あ!」

『絵』の方に覚えはないが、確かにこの『箱』をあの使い魔は持っていたのだ
今まで、それ所では無く思い出す事も無かったが。

「仮にも異世界から来たと仰る方の持ち物なので、教師として検査する義務があったと仰っていました」

そう、コルベールがメイドに言うよう伝えた言葉を、だがルイズは聞いていない
ルイズもコルベールの性格は知っている
多分、好奇心の赴くままやってしまったのだろう
しかし、師の言い訳などはどうでもよく、今ルイズの視線と思考は『絵』と『箱』に集中してい た

この2つにルイズが感じたものはコルベールの感想と基本的に大差無い
もっとも、ルイズはこれにコルベールが感じた『力』を感じる事は無かったが、それは人生経験の差であろう
だが、ルイズはどこかでこれを見たことがあるような気がしていた
彼を召還した直後とは別のどこかで 自分はこの『絵』と『箱』を知っている

だが、『箱』はこれでは無かった、とも思った
何か、どこかが記憶と違う
そんな気がする、だが何が違うのか、そもそも何を基準にして自分は『違う』と思うのか

「ミスタ・コルベールが、後で使い魔の方と来るよう仰っていました」

「…わかったわ」

「はい、それでは失礼致します」

一礼し、去って行くメイドに目をやる事も無く、ルイズは只、手にした物を見つめ続けていた

ルイズには、これが何なのかわからない

尋ねようにも、彼はどこかに行ってしまっている
この二人はまだ、まともな会話も交わしていない
二人の相互理解は、未だ始まってさえいなかった
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