『相互理解』
[5/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
女を苦手にしていた。
彼女は、煩さかった。
彼女は、事あるごとに自分にまとわりつき
彼女は、朝いつもタイミングを見計らったかのように、扉から顔を出し
いつもことあるごとに自分をからかった
だが、そんな彼女は今、この部屋にいない
彼女は学校を辞め、出て行ったのだ、暫く前に
あの日
ドアを開けるといつものように彼女と出くわした。
いつもと違うのはルイズからキュルケに話しかけた事くらい
いつもと違うのは彼女の背中に見える普段は乱雑なその部屋が、綺麗に片付けられている事くらい
あんた学校やめるんだってね
そうよ
なんで?
素敵なダーリンを探す旅にでるのよ
そう…
あら、もしかして寂しいの?
そんな訳ないじゃない、只…あたしが儀式で召還する偉大な使い魔を、アンタに見せてやれない のが残念なだけよアンタみたいな色ボケ、いなくなってくれれば清々するわ
…………………………………ルイズ
何よ…
あんたも、いい男を見つけなさい
は?何がいいたいのよ?
さぁてね、それじゃあねルイズ、いつかあんたの使い魔を見せて頂戴ね
それが、彼女と最後に交わした言葉だった
その日から、あの嫌な女と顔を合わせる事は無くなった なのに、もの足りなさを感じるのはどうしてだろうか
立派な使い魔を見せつけて見返す事が出来なかったからだろうか
…あんたも、いい男を見つけなさい
…あの女は結局、自分に何が言いたかったんだろう?
「どうかしたのか?」
その部屋を、暫く黙って見つめていたルイズに橘が尋ねる
「…なんでもないわ、急ぐわよ」
素っ気なく答える。 そして食堂に向かう
「友達がいる部屋だったのか?」
「…そんなの、いないわよ」
そう、自分には『友達』なんていない
その部屋には『友達』などいなかった
アルヴィーズ大食堂
この学院に通う者達が食事をとる場所である
そこに並べられている料理の数々は、貴族達が食すに相応しい豪華絢爛たるものであり、そこで働く者でなければ一生、目にする事はできないだろう
また、そこに飾られている調度品なども、やはり平民達には縁遠い物である
ルイズは『たかがご飯』と断じたが、それ一つとっても平民と貴族では絶対的な溝がある
『たかがご飯』
後に、ルイズはこの考えを撤回するが、今の彼女がそれに至る筈も無い
ルイズが今考えている事、それは
「ルイズ!パスタがあるぞ!ウニもだ!」
「いいからアンタ黙りなさいよ!恥ずかしいじゃない!」
この使い魔を、黙らせる事だけであった
「椅子を引きなさい」
「ああ」
自分の席にて下した命令、橘は逆ら
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ