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ボロボロの使い魔
『橘』
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っ た
使い魔はパートナー
少女は確かにそう言った(最後の方は、下僕と言っていた気もするが)
ならば、二人の関係は対等という事だ
ルイズは橘が元の世界に帰る事を手伝い、その目処がつくまで、橘がルイズを手伝う
明日の朝、 そう提案してみよう
多分、それが今のベストだ
ルイズは…恐らく拒まないだろうと思う『平民』である自分を召還したことに、あれだけ憤って いたのだから。

『貴族』と『平民』

この世界において、その単語の意味するところを橘はまだ理解できていない
執拗にルイズが繰り返していたことから、彼女にとっては、余程重要な事なのだろうと思うだけ である
召還当初、ルイズに平民かと訪ねられ、そして橘は否定しなかった
それは単純に、混乱していてそれどころでは無かっただけだし、今冷静に考えても自分が貴族な どである筈がない
初めて自宅に招いた時、彼女が見せた引きつった笑顔が忘れられない
自分は平民
だが『只の平民』でも無かった筈なのだ
しかし

今、改めて探る衣服のポケット、そこにはやはり何も入っていなかった
彼と共に常にあり彼の力となり続けたそれは、今、彼の手には無かった
ため息をつく
これで何度目になるだろう
何故、自分は持っていないのか
何故、服がボロボロなのか
探ろうとする召還される直前の記憶は、まるで霞がかかったかのようにボヤけていて思い出す事 ができない
それもこれもサモンサーヴァントとやらの影響なのか。 見知らぬ異世界を探ろうとするにはこの現実はあまりに辛い
正直ルイズが、使い魔として自分に何を求めているのかは解らない。

だが、自分には他に選択肢が無い。

とにかく、やるしかないのだ
こんな所でモタモタしている暇はない
最後にそう自分に言い聞かせると、橘はそのまま床に寝転んだ
同時に襲ってくる睡魔に抗うことなく眠りにつく
彼の精神も相当にまいっていた
長い一日がようやく終わる
二人の、疲弊した心身が求めた睡眠は
翌日、遅刻寸前で目を覚ましたルイズが、ドロップキックで橘を蹴り起こすまで続くのだった。
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