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相棒は妹
志乃「兄貴って臆病だね」
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た。

 俺は志乃の顔からわずかに目を背け、返答を待つ。それ以外に方法が浮かばなかったんだよ。
 すると、妹も自分から目を離し、階段辺りを見ながら細々と口を開いた。


 「……カラオケ、行こ」

 *****

 そして、現在に至る。

 俺と志乃は駅前にあるカラオケ店に向けて足を進めていた。そこは俺の行きつけの場所で、もう俺は顔を覚えられている事だろう。

 俺が小学六年生の頃、クラスの奴に誘われて初めてカラオケに行った。その時は人前で歌うのが恥ずかしくて、ほとんど歌わなかった。

 だが、次第に歌うのに慣れていって、今ではカラオケ大好き人間になっている。中学三年間は休みがあったらほとんどカラオケに行っていた気がする。高校に入ってからはほとんど行っていなかったが……。

 ま、久しぶりに歌ってやるか。志乃に俺の美声を聴かせてやる。いや、美声なのかは分からんけど。

 ……そもそも、何でいきなりカラオケ?


 「なぁ志乃。何でいきなりカラオケなんだ?」


 率直に聞いてみた。兄として、ナヨッとしてるのはダメな気がしたんでね。

 すると、志乃はこちらを一瞥して一言。


 「ジュース飲みたいから」


 「歌わねえのかよ!」


 思わずそうツッコむ。いや、だって歌わないんだぜ?「恥ずかしい」とか「緊張する」とか言うのかと思ったのに。「ジュース飲みたい」って、案外可愛いなこいつ。

 にしても。


 「なぁ志乃。何でお前は外に出てまで体操服なんだ?」


 そう、ピアノ少女は家でも外でも体操服を着ているのだ。胸元に名前の入った真っ白の体操服に、紺色のハーフパンツ。お前運動苦手じゃん……。


 「だって、動きやすいじゃない」


 平気な顔をしてそう言い返してくるお前はどうかしてる。少しは女子っていう自覚持てよ。


 「いや、だけどさ。知り合いにあったらどうすんだ?恥ずかしくね?」


 そこで、けっこう重要(?)な問題を振り掛ける。まさか、考えてなかったとか言うなよな……?


 「兄貴って臆病者だね」


 「臆病とか関係無くね!?つかお前が常識外なんだよ!」


 こいつ、やっぱりどこか外れてるんだよな。個性的で良いっちゃ良いんだけど。……生意気なところ直せば可愛いのに。

 三月の中頃。冬の寒さは少しずつ街を去っていき、代わりに春の陽気が吹き込まれていく。夜はまだちょっと寒いけど。

 それに、花粉が飛ぶ季節だからな。俺は花粉症だから春は嫌いだ。まだ冬の方がマシに思える。

 今だって、マスクは着用しているし、コンタクトも付けている。眼、悪いんだよ。

 その時、いきなり隣を歩いていた志乃が小さ
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