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相棒は妹
志乃「兄貴って臆病だね」
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すぎたかもしれない。さっきの妹の声は、俺が泣いていて戸惑ったものなのだろう。

 晴れた視界に、わずかに心配そうな顔をした妹の顔が浮かび上がる。良かった、変形してない。


 「ねぇ……大丈夫?やっぱり帰る?」


 珍しく志乃が俺を心配している。今までほとんど一緒に暮らしているだけって感じだったのに、本当にどうしたんだ?


 「あぁ、悪いな、俺は大丈夫だから。カラオケ行こうぜ」


 *****

 話は数十分前に戻る。

 左腕を掴んでいたのは志乃だった。あれ、今こいつリビング行ったんじゃないのか?

 俺より頭半分程小さい妹は顔を下に向け、表情が読み取れない。こいつが何をするのかが全く予想出来なかった。


 「おい……志乃。どうした?俺に用……か?」


 言葉が途切れ途切れになってしまったのはしょうがないだろ。だって、一番予想してなかった奴から声掛けられたんだぞ。それに……


 「……とにかく、身体起こしてくれ。ここからお前を見ると、よろよろの体操服がはだけてて……」


 そう説明していた途中、俺はいきなり顔を上げた妹にアッパーを食らわされた。


 「ぐぼぁぁ!何すんだお前!」


 「兄貴の変態。妹の身体見てそんなに楽しいの?」


 誰も楽しいだなんて言ってねぇだろうが。それと、お前はぺったんこだ。楽しむものなんか無いから安心しろ。


 「今、失礼な事考えたでしょ」


 こいつ読心能力でもあるのか。


 「……で、何の用だ志乃。勉強なら教えないぞ。自称『保健体育のスペシャリスト』のバカ親父にでも聞け」


 「兄貴に教えてもらうような事は何も無い。父さんは論外」


 ……つくづく生意気な妹だな。しかも父さん論外って……可哀想になったぞ。


 「じゃあ俺に何の用事があるんだ?」


 これはちゃんと聞かねば。俺に物事頼むとか、何年ぶりだよ。少なからずこいつが小学生の頃の話だな。

 つかマジで俺に何の用だ?何か頼まれるような記憶は俺に無いんだけど……。


 「……」


 志乃が俺の顔を無表情で見つめている。え?何も喋らないの?まじまじと見られても俺は答えを知らないぞ。


 「その、喋ってくんね?」


 こいつは、テンションマックスな性格じゃないし、アニメばっか見てる根暗な奴とも違う。ピアノがちょっとばっかし上手い、普通の女子だ。普通に人と話す、至ってまともな奴だ。

 だから、俺はこいつが黙っているこの状況を、どうすればいいのか全く分からなかった。そもそも、いつも挨拶程度しか声を交わさないのだ。その挨拶ですら、しない時とする時があるので、普通の会話をする事自体新鮮だっ
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