暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは 〜黒衣の魔導剣士〜
As 15 「騎士達の帰還」
[8/11]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
海面を数度跳ねたあと岩盤に直撃。それと同時に鎖状の魔力に拘束される。
 管制人格はふたつの岩盤を利用して高町を張り付け状態にし、闇の書を出現させる。上空に闇色の稲妻が一点に走ったかと思うと、次元が裂けドリルを彷彿させる巨大な槍が出現した。

「眠れ!」

 巨大な槍は管制人格に放たれると回転し始め、高音を撒き散らしながら高町へと向かっていく。先端がアーチ上に存在していた岩盤を砕くと、高町の表情が恐怖で染まった。上空にあった岩盤のせいで槍の存在を認知できていなかったのだろう。
 突如、脳裏に奈落の底に落ちて行ったプレシア・テスタロッサの姿が過ぎる。
 俺は、また助けることができないのか……。
 両親のときとは違い、今の俺には力がある。同じ過ちは繰り返さないという想いも。手を伸ばせば届く距離にいるのに、こんなところでじっとしているつもりなのか。

「く……ぅ」

 漆黒の剣を岩盤に突き刺して、俺は歯を食い縛りながら立ち上がる。
 身体はあまり言うことを聞いてくれない。足は小刻みに震え、両腕は鉛のように重くなりつつある。左腕に関して言えば、感覚すらなくなってきている。
 ――だが、高町は守ってみせる。
 高町を失えば、もう管制人格を止めるのは不可能になる。それに、これ以上テスタロッサから大切な人間を奪わせるわけにはいかない。
 今の身体で無茶をすればどうなるか正直分からない。それを心配するかのようにファラのコアが瞬いた。声をかけてこなかったということは、彼女も最優先すべきことが分かっているということだろう。俺は一瞬だけ微笑みかけると、岩盤を蹴って巨大な槍へ向かう。

「う……おおぉぉ――あああ!」

 残っている魔力を振り絞り、破損していた左の剣を修復。左右の剣の刀身に漆黒の魔力が集束していき、先ほどの高町の魔力刃のように一定の濃度を超えたのか魔力が蒼色に変化する。
 右の剣で薙ぎ払い、間髪を入れず左の剣を叩き込む。右、左、再度右と絶え間なく続く流星群のように高速の斬撃を繰り出していく。一閃するごとに甲高い音が鳴り響き、星屑のように飛び散る魔力が俺の周囲を夜空のような色に染め上げる。
 16回にも及ぶ斬撃の雨に巨大な槍は砕け散った。しかし、その巨大さ故に破片になっても充分な大きさを誇っており高町の方へと落下し始める。

「……バーストッ!」

 周囲に漂っていた魔力が拡散し、槍の破片を木っ端微塵に消し飛ばす。
 ファラの改修を終えたシュテルが、過去のデータを元に作成し使用できるようになるまで訓練に付き合ってくれた魔法《ミーティアストリーム・バースト》。今のところ唯一の二刀流での技であり、俺の切り札。

「はぁ……はぁ……」
「その様子ではもう限界だろう……お前も一緒に眠るといい」

 管制人格は再度巨
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ