第六章
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「ああ、それで何だ?」
「俺今わかった様な気がします」
その新条を見ての言葉だった。
「どうして新条さんが最高の噛ませを目指すのか。そして新条さんがどうして人気があるのか」
「噛ませの人気だよな」
「それがわかった気がします。新条さんの中にあるもの故になんですね」
「おいおい、大袈裟な話になってきたな」
そんな兆州の話を受けて笑う新条だった。
「俺は特にな。そこまではな」
「考えてないですか」
「ああ、ただ向き不向きでな」
つまりだ。自分でメインイベンターや悪役には向いていないとわかっているというのだ。
「それとファンはいつも大事にしないといけないしな」
「それは当然ですね」
だがその当然のことができない者も多い。世の中というものは。
「で、前座も必要だからな」
「そうした色々な理由があってですか」
「ああ、俺は目指すぜ」
笑顔でだ。新条はまたこう言った。
「そのな。最高の噛ませ犬をな」
「はい、頑張って下さい」
今度は素直に微笑んで頷ける兆州だった。そうしてだった。
彼等はハンバーガーを次々と食べていく。その食べる量と勢いはまさにプロレスラーのものだった。その前座である新条もだ。立派なプロレスラーであった。紛れもなく。
噛ませ犬 完
2012・4・1
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