黒と緑の攻防
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「!?」
相手の魔力が急激に高まり、周りの空間を凍らせるような寒気が全身を襲う。
この感じは、覚えがある。聖杯戦争で何度も体験した宝具の解放。
相手は巨大な長槍を地面に突き刺し、二又に分かれた螺旋状の槍だけを構える。すると、その槍を片手に持ちギリギリと自分の体を弓のように……いや、それどころか投石器の如く大きく捻りこみ力を込めている。
(投擲するつもりか)
宝具は、人間の使う魔術では防げない。宝具を防ぐものは具現化した神秘たる宝具――それも盾の宝具――を除いて他には無いが、今残っている魔力で防げるかどうかわからない上、相手の宝具の能力は未知。
どうなるかわからないが、やるしかない!!
「体は剣で出来ている
意識を集中させる。
片目を瞑り、意識を内面へ、開いた瞳は真っ直ぐに敵を見据えて。そして意識を自身の奥深い所に潜らせる。深く、深く、もっと深く、魂の、精神の、肉体の底まで、深く、探り出す。全てのものがありながら、何も無い世界を。
何千何万という、墓標の如く丘に突き刺さる剣の群れ。
咲き誇る花の如く、美しい盾の存在を。その盾を、俺はその真名と共にあの丘から引きずり出す!!
「熾天覆う七つの円環!!」
右手を前に突き出し叫ぶ。生まれ出でる、花弁を持ち咲き誇る美しき盾。しかし、本来なら七枚ある花弁が、四枚しかないがそれに全魔力を注ぎ込む。
俺が盾を投影すると同時に相手は、手にしている槍を投擲した。投擲された槍は、先端が二又分かれていたのが、収束し、偽螺旋剣のように、鋭い回転をしながら四枚の花弁に激突。激突の拍子に一枚の花弁が消えた。
「ぐ、あ!」
続くように、二枚、三枚と砕けていき、最後の一枚にもヒビがはいる。つ、強い、勢いが全然殺せてない。まずい、全魔力を回しているがこのままじゃ破られてもおかしくない。一体、どうすれば
【あなたが私の…………】
そう思ったその時、頭にあるイメージが浮かんだ。黄金の光に照らされたある一つの何か。光に照らされているが、霧がかかったかのようにその姿を見ることができない。けれど、不思議と不快な感じはしず、むしろ、それが当然のように感じる。
(……………………ッ!?)
気がつくと頭に出てきたイメージが消えていた。時間にすると刹那と呼んでもいい位のわずかに出てきたあのイメージは一体…………。
パリン!
そんなことを考えたのが一瞬の油断だったかもしれない。最後の花弁が割れてしまったのである。こうなっては後
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