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Fate/EXTRA IN 衛宮士郎
黒と緑の攻防
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占ってもらうために三階へと向かう。ふぅ…………全く上り下りしてばかりだから少し辛いな。三階に着き、辺りを見回すとラ二は、昨日と同じ場所から空を見上げていた。

「おはようラニ」

「おはようございます。衛宮さん」

お互いに軽く挨拶をしたので、早速本題に入ろう。

「昨日、言われたとおりきたぞ。今大丈夫か?」

「はい、問題ありません。星々の引き出す因果律、その語りに耳を傾ければ様々なことが分かるものです。ブラックモアのサーヴァント、彼を律した星もまた、今日の空に輝いています」

そう言うと、取り掛かるためか目を閉じたラニは、何かを呟く。その後、昨日渡した遺物を取り出し、手をかざした。すると、ラニの身体が小さく震えだす。

「――これは、森? 深く、暗い……とてもとても、暗い色。時に汚名も負い、暗い闇に潜んだ人生……」

閉じた瞼の裏で、なんらかの景色が流れ始めたのかラニは語り出す。

「緑の衣装で森に溶け込み、影から敵を射続けた姿……」

あの衣装と弓は、まさにアーチャーの生き様が形作られたもの。森に潜み、隠れ続け、卑怯者として闇から敵を撃つ人生。

(似てるな…………)

他人に恨まれ憎まれ罵倒されても、理想を追い続けたその生涯は報われることなく、自分が助けた相手の裏切りによって幕を閉じたあいつ(アーチャー)とそっくりだ。

『………………なるほど。そういうことか』

アーチャーも何かを感じたのか、自傷的な笑みを浮かべているのを感じる。

「……そう、だからこそ、憧憬が常にあるのかもしれませんね。陽光に照らされた、偽りのない人生に」

隠れ潜む闇として存在したからこそ、光り輝く道に憧れを感じていた。栄光を手にした者こそ英雄の名を冠する。だが、その過程には様々な経緯があるという事だろう。
道化を演じるしかできなかった男、言うなれば、純英霊に憧れた反英霊と言う表現が当てはまるのだろうか。
この聖杯戦争は、まさに見境なしに古今東西から英霊を呼び寄せる代物らしい。ラニの方も、それで全ての景色を、見終わったのかだろう、少し残念そうな声で結果を伝え始める。

「これは、私の探している物ではないようです。今回は、憧憬、それゆえの亀裂。師から教えられた人間の在り方の一つでした。……どうやら、貴方の星もまだ彼とは交わっていないようですので、第二層に向かってはどうでしょう?彼の星をそこに感じてみました。直接問うのもいいかもしれません」

「探し物は残念だったが、こっちは助かったよ。サンキュな」

「いえ、早々に見つかる物とも思ってはいませんので。それではごきげんよう」

これ以上はこの場にいても自分たちの利益は無いだろうし、彼女の邪魔にしかならない。
そう思い、俺たちはラニの言葉に従って
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