第五章
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「昨日はどうも」
「あっ、はい」
「まずは薔薇を有り難うございます」
ラーダは微笑んでセンに言う。
「私実は薔薇が好きでして」
「そうだったんですか」
「特に赤薔薇が」
センが贈ってくれたその薔薇が特にだというのだ。
「好きでして」
「それは何よりです」
「それでお返事ですね」
本題に入った、それはというと。
「昨日のことですけれど」
「そのことですね、それでは」
「はい、これがです」
ここでラーダはあるものを出してきた、それは。
四角い菓子だった。小さくそう切られており中にはカルダモンやミルクが入っている様だ、ミルクのせいで白い筈だが。
そこに赤も入っていた、センはその菓子を見て言った。
「ソーンパープリーですね」
「はい、そうです」
インドの代表的な菓子の一つだ、カルダモンやミルクの他にギーも入れる。砂糖をかなり入れてヒヨコマメの粉を使う。
普通はナッツ類で飾るがそれがない、その代わりに紅が入っていたのだ。そしてその紅が何かというと。
「薔薇です」
「えっ、薔薇なんですか」
「はい」
その通りだというのだ。
「それです」
「じゃあこのソーンバーブリーの中に」
「昨日センさんから頂いた薔薇を入れさせてもらいました」
「薔薇をお菓子の中に入れるなんて」
「驚かれました?」
「薔薇を食べるんですか」
このことについてだ、センは信じられないといった顔で言った。
「あの、それは」
「おいおい、薔薇は食べられるよ」
ここでだ、若旦那が笑ってセンに告げた。
「ちゃんとな」
「そうだったんですか」
「いや、これは常識だろ」
若旦那は本当に驚いているセンに今度は苦笑いになって返した。
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