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食べられる
第三章
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「赤も白も黄色もね」
「そうですか」
「それでどの色にするんだい?」
「じゃあ」
 センもここでは何故薔薇を買うかは言わなかった、流石にそれを言うとまずいと思ったからです。花屋のおかみさんはお喋りでそこから市場全体に広がると思ったからだ。
 だからだ、ここは考えを隠してだった。好きな娘にプレゼントするのならこの色がいいだろうと思って言った、その色は。
「赤を」
「赤だね」
「はい、赤薔薇下さい」
「何本だい?」
「ありったけを」
 センはこのことはあまり考えずに言った。
「ありったけj下さい」
「うちの店にあるだけの赤薔薇をかい」
「はい、お願いします」
「わかったよ、それじゃあね」
 おかみさんも笑顔で応える、そしてだった。
 実際に赤薔薇を花屋にあるだけ、両手で抱えてようやくといっただけの量のそれを抱えてだ、そうして自分の家の店の向かい側に行ってだった。
 そこにいる若旦那にだ、まずはこう言った。
「あの、ラーダさんは」
「おい、何だよその薔薇」
「駄目ですか?」
「幾ら何でも多過ぎるだろ」
 若旦那は苦笑いでセンに返した。
「その量は」
「いや、お店にあるだけと思い出して」
「それでか」
「はい、買って来ました」
「極端なことするな、本当に」
 若旦那は苦笑いで言う。
「センちゃんも」
「それでラーダさんは」
「ああ、まだ店の中にいるからな」
「そうですか」
「呼ぶな、今から」
「それで、ですね」
「まあ家同士の話もあるけれどな」
 インドでは結婚はこうした考えがまだ強い、それで若旦那もこのことについて言ったのだ、しかしである。
「それでもな、センちゃんのことは俺も親父達も知ってるしな」
「それで、ですね」
「ああ、センちゃんなら大丈夫だ」
 ラーダの夫にしてもだというのだ。
「俺からも親父お袋からも向こうのご家族には話すからな」
「すいません」
「いいさ、とにかくな」
「ここで、ですね」
「決めろよ」
 確かな顔でだ、若旦那はセンに微笑んで言った。
「嫁さんにしろよ、あの娘を」
「わかりました、ここで」
「人間やっぱり家庭がないとな」
 インドではこの考えが強い。
「駄目だからな」
「男は所帯を持ってこそですか」
「まず彼女を作ってな」
 そこからだというのだ。
「それからだからな」
「それで、ですよね」
「まあカーストのこともあるけれどな」
 このことはインドにおいてはまだまだ強い、法律で禁じられていても本当に根強く残ってしまっているのだ。
 だがそれでもだというのだ。
「彼女、奥さんはいないとな」
「ですよね、僕もずっと欲しいと思ってました」
「家同士で決まるのも悪くないさ」
 インドではまだこれで結婚が決まることが多い
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