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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
天使炎上篇
15.天使炎上
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「少しまずいことになちゃったかも」
水平線の彼方を眺めながら少女は呟いた。
海面の半径数キロの範囲が凍りついている。その中央にそびえ立つのは、巨大な氷柱。それは遥か上空まで伸びている。
その姿はまさに“バベル”と呼ばれた天を衝く聖なる塔が再来したようだ。
「それでも……大丈夫だよね……」
獅子王機関の“剣帝”の少女は、島へと不安と期待が入り混じった視線を向けるのだった。
銀色の刃が眩い輝きを放ち、雪菜の祝詞とともに周囲直径四、五メートルほどの半球状の空間が出現した。“雪霞狼”の神格振動波の防護結界を張ったのだ。
結界の外は氷河のような分厚い壁に覆われている。
結界の中央に倒れているのは、いまだに意識が戻らない古城と彩斗。
「──大儀でした、雪菜。これならしばらくは保ちますね」
氷に閉ざされた天井を眺め、ラ・フォリアが言う。
「はい。ですが、申し訳ありません。脱出するのは余計に難しくなりました」
「今は考えなくていいでしょう。外はまだ吹雪いているようですし」
雪菜の硬い表情に対して、ラ・フォリアは微笑む。
「この雪と氷。あなたはどう見えますか、雪菜?」
「わかりません。でも、叶瀬さんの想いを感じます」
氷の壁に触れながら、雪菜は答える。
「さすがですね。わたくしもそう思います。おそらく
模造天使
(
エンジェル・フォウ
)
の術式の影響で、叶瀬夏音の心象風景がそのまま実体化しているのでしょう」
頭上を見上げ、ラ・フォリアが哀れむように呟く。
「ということは、叶瀬さんはまだ──」
「ええ。自我を失ったわけではありません。術を破れば、叶瀬夏音は人間に戻れます」
雪菜の質問に、ラ・フォリアは断言した。
「ですが、今のわたしたちは彼女に近づくことすらできません。それどころか、ここから生きて出られるかどうかも」
「それは問題ないでしょう。この程度の氷の壁、二人が目を覚ませばどうにでもなります」
「先輩……」
倒れている傍に膝を突き、雪菜は古城をのぞきこむ。
模造天使
(
エンジェル・フォウ
)
の神気の光を古城が貫き、致命傷を与えられた肉体は再生を果たしている。
だが、一ヶ所、胸の中央にきざまれる十字型の刺傷だけ再生していない。
「この傷は……!?」
「
模造天使
(
エンジェル・フォウ
)
の剣に貫かれたところですね。古城の肉体には、今もまだ剣が刺さったままなのです。わたくしたちには触れることのできない剣が」
天使と同じ高次元の剣が、古城の回復を妨げている。
「……どうすれば助けられますか?」
雪菜が、真剣な眼差しでラ・フォリアに訊く。
ラ・フォリアは、雪菜を興味深
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