三十二 真夜中のお茶会
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眠れずに始めた真夜中のお茶会がとんでもないことになってしまった。そう自嘲しつつ、大蛇丸は自身の茶杯に口をつけた。
「ナルト君に感謝することね」
緊張でヒリヒリと痛む喉を潤すように茶を飲み下す。空になった杯に茶を注ぎ入れながら、カブトは苦々しく答えた。
「彼に借りを作りたくないんですよ」
顔を伏せながら独り言のように呟く。嫌悪が滲むその声音に、大蛇丸は呆れたようにかぶりを振った。
「お前は昔から、彼が苦手だったわね」
金糸の刺繍があしらわれたテーブルクロスに、彼はことりと白磁の杯を置いた。そしてやにわに手をパンパンと打ち鳴らす。
瞬間、大蛇丸の目前に一人の少年が現れた。片膝をつくその者を見下しながら、大蛇丸は高慢な態度で命令を告げる。
「ナルト君を監視しなさい。お前になら出来るでしょう」
ナルトが残した毒入り茶を手にする。杯を傾けると、中の液体が糸を引いて絨毯に流れ落ちた。鮮やかな深紅がみるみるうちに暗紅色の滲みを作る。
「―――――シン」
空になった白磁の杯が大蛇丸の手から滑り落ちた。派手な音を立てて砕け散った茶器の破片が、少年の頬を切りつける。
一筋の血を滴らせながら少年――シンは顔を上げた。鮮紅色の滴が絨毯の滲みと雑ざり合い、更に深く黒ずんでいった。
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