三十二 真夜中のお茶会
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を、彼は滑らせるように撫でた。
「しくじったようね、カブト…」
途端、室内に響いていた磁器の触れる音が消える。茶の用意をしていたカブトは大蛇丸の一言で動きを止めた。
「お前の素姓がバレた事に関してはどうでもいいわ。どうせ平和ボケした木ノ葉がどの程度動くか知っておきたかったし。だけどね、」
寝椅子にその身を横たわらせていた大蛇丸は、静かに手を伸ばした。細く長い指が円卓上に置かれた白磁の茶杯に触れる。施された白蛇の文様をなぞりながら、大蛇丸はちらりとカブトを横目に捉えた。
「砂との密会を覗き見た鼠に関しては、どう責任をとるのかしらね?」
カブトは顔を上げない。落ち着いた風情で茶壷にお湯を注ぎ入れている。だがカタカタと小刻みに揺れる茶器が彼の動揺を明らかにしていた。
「目撃者は木ノ葉病院に収容されたようよ。消そうにもこう警戒が厳重じゃ動けやしない。木ノ葉の忍びとしてなら簡単でしょうけど、ヨロイもミスミもまだ動ける状態じゃないし。唯一動けるはずのお前も、表だって使えない………馬鹿な真似をしてくれたおかげでね」
目撃者を消すのに一番手っ取り早いのは木ノ葉の忍びとして近づくことだ。疑われることなく木ノ葉病院内に入り込める。里も大手を振って歩けるため、この場合木ノ葉の忍びとして長年隠密行動をさせていた者を使うのが妥当である。
しかしながらスパイとして送り込んでいた赤胴ヨロイと剣ミスミは中忍予選試合にて負傷したため、まだ本調子ではない。ただ一人残ったカブトも、うちはサスケの暗殺といった勝手な行動をしたので使えない。
既に里の忍びにはカブトの手配書が回されているだろう。病院で鉢合わせした相手が畑カカシなら猶更だ。
そう大蛇丸は考えているのだが、実際のところそれは外れである。それと言うのも偽の病室にいたカカシとサスケは再不斬とミズキであり、木ノ葉の忍びは誰一人としてカブトの暗殺未遂を見ていないのである。
サスケ本人ですら自身が暗殺されそうになったなど知らないのに、どうして手配書が回されようか。
だから仮にカブトが里中を闊歩したところでどうという事は無いのだが、それでも大蛇丸は勘繰るだろう。カブトを泳がせ、彼の背後関係を洗おうという魂胆なのではないかと。
結局それら全てが己の邪推だとも、ナルトの狙いだとも、大蛇丸は知る由も無かった。
また、里の隅々にまで火影の目が行き届いている。交代制で木ノ葉の忍びが巡回しているのだ。以前にも増して里の警戒が厳重となっていることに大蛇丸は辟易としていた。
何処の馬鹿がへまをやったのか――――――そうか、目の前のコイツか。
螺旋を描いて天井へと昇りゆく湯気。芳しい香りに満たされる室内に反して、張り詰める緊張。どこか息苦しさを覚えたカ
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