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ファイアーエムブレム 〜神々の系譜〜
第二章 終わらせし者と月の女神
第四話
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 「ようこそ来なされた。隣国のノディオン王子様方。長旅でお疲れになったことだろう。今日はゆっくりと体を癒されるといい。明日から存分にもてなしたいと考えておるでの」

 「誠に有難きことです。今日はお言葉に甘えましてそうさせていただきたいと思います」

 「うむ。では、誰か! 彼らを部屋にお連れしなさい!」

 そそくさとメイドが現れ、ロキとエルトシャンは彼女についていった。その後バトゥ王が座る玉座の元を訪れる影が三つ。
 ガンドルフ、キンボイス、ジャムカの三人だ。

 「父上、なぜ高々隣国の王子如きにあのような態度なのですか!?」

 「そうです。なぜ我らがこんな惨めな思いをしなければならないのですか?」

 「そう言うな、ガンドルフ、キンボイスよ。彼らはあの黒騎士ヘズルの血筋ぞ。仲良くしておいても損はないであろう。それに、向こうも第一王子と第二王子をここに送り込んでいるのだ。それも、言わば信頼の証であり、警戒している証でもある。わざわざ邪険に扱うこともあるまいて」

 「父上の言うことはもっともです。我々はまだ弱い、いずれ強国として名を上げるためにも今は争う時ではないと思います」

 「ジャムカの言うとおりだ。まだお主達よりも一回りも若い者がこのような先見の明に長けておるのだ。お主らも、我慢しろ。いずれ時が来るであろう。儂の代ではなくてもの」

 ジャムカの兄達は、憎々しげな表情でその場を立ち去った。バトゥはジャムカを近くに寄らせると、彼に任務を言い渡した。

 「ジャムカ、お主はあの第二王子の方と仲良くなってまいれ。兄は儂のほうで見張っておくでの」

 「はい……。分かりました」

 そうして、ロキにとって長い1週間の初日は無事に終わった。

 「くっ、父上め。なぜあのように他国に媚を売る。我らは国を思えばこそ、強行な態度をしているのに、なぜそれを分かってはくれないのだ」

 「そうですよ、兄者。それにしてもジャムカの奴も以前よりいっそう生意気になった」

 「言うな、キンボイス。あいつはあいつで国を思っているんだ。それに仮にも我らの兄者の息子でもあるのだ。俺はあいつのことを死んだ兄者の分まで守ろうと決めている。あいつは我らの良心であってくれればいいのだ」

 ガンドルフという男は、悪名が高い。しかし、なぜか国民には愛されている男でもあった。それは彼が国民には善良な王子であり、城下町でなにか起こると衛兵とともに仕事を投げ出してまでも駆けつけてくる姿勢が他国にとっては愚かな男でも、王子としては優秀な証拠でもあった。数年後、彼のそんな思いが悪用されるとは誰もが想像もしなかったであろう。






 「兄上、少し心配ごとがあるのですが……」

 「めずらしいな、ロキがそんな
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