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実験材料
第四章
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「中央政府ですね」
「その中央政府の権限として」
「そうです、死刑囚のクローンを使い」 
 そしてだというのだ。
「実験を進めましょう」
「それがいいですね」
「それでは」
 こうしてだった、死刑囚のクローンを実験材料に使うという法案がマルケッロが中央議会に提案した。こうしてだった。
 この法案は審議にかけられた、だが。
 ここでまた問題が起こった、今度の問題はというと。
 各国政府や各国の医師科学者達の中で各国の権限を守るという者達がだ、こう言い出したのだ。
「実験材料を中央政府が完全に管轄すると自由な実験が出来なくなる」
「正常な発展の妨げになる」
「中央政府の横暴につながる」
「実験を通じて中央政府が何を言うかわからない」
「この法案は駄目だ」
「あってはならない法案だ」
 動物愛護とは別にだ、連合の政治的問題が浮上してきたのだ。中央政府と各国の対立がここでも出て来たのだ。
 それでだ、問題はここでさらに複雑化することになった。
 マルケッロはこのことは想定していなかった、それで自分のスタッフ達に困惑した顔で頭を抱えて言うのだった。
「参りましたよ」
「ですね、まさかですね」
「中央政府と各国の対立になるとは」
「このことについてもですね」
「そうなるとは」
「はい、困りました」
 実際に頭を抱えて言うのだった。
「このことは」
「どうなるでしょうか、法案は」
「完全に動物愛護とは別になってしまいましたが」
「何かどうにも」
「こうしたことは」
「そうですね、人間のクローンは」 
 この人間のクローンがだ。
「中央政府の管轄です」
「はい、これだけは」
「どうしてもですね」
「そうです、医療に使う際も」
 例えば切断した手足を元に戻すこともだというのだ。
「各国の厚生省が認可して中央政府まで話がいってですから」
「それで結構時間がかかっていますね」
「どうしても」
「そうです、しかし小動物のクローンなら」
 それならばだった。
「認められていますね」
「はい、確かに」
「それは」
「それでしたら」
 それならばだというのだ。
「クローンは使いますが」
「クローンを?」
「それをですか」
「小動物のクローンは各国政府や重要期間でも認められていますので」
 だからだというのだ。
「そちらに法案を訂正しますか」
「人間ではなくですか」
「死刑囚ではなく」
「はい、ですから」
 それでだというのだ。
「そう習性しましょう」
「しかし死刑囚についてはどうしますか」
 このことについてだ、スタッフの一人が尋ねてきた。
「彼等は」
「そうでしたね、死刑囚の問題がありましたね」
「はい、実験材料はそれでいいにしても」
「死刑囚ですね」

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