第七章
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「君達の体格なら必ず検査に合格する」
「そして正義の戦士になるんだ」
ワルトもエセックスを助けて彼等に言った。
「日本という悪を倒すんだ」
「いや、それは」
「俺達は」
ここで異変が起こった、彼等は急に視線を泳がせたのだ。
そのうえでエセックス達だけでなく彼等のお互いの顔を見合ってからだ、二人に対して何処か後ろめたそうにこう答えた。
「実は軍需工場に務めてるんだ」
「三日前からな」
軍需工場で働いていれば徴兵に応じなくてもよかった、アメリカはこの辺りの政策は上手にやっていたのだ。働き手は確保していたのだ。
「だからそれはな」
「残念だけれどな」
やはり後ろめたそうに言うのだった。
「出来ないんだ」
「兵器を作らないといけないからな」
「悪い、そのことはな」
「俺達はやることがあるんだ」
「そうか、ではだ」
エセックスはここでも内心を隠しながら応えた。
「君達は工場に行って働き給え、そこで力を使うんだ」
「ここにいないでか」
「そうしろっていうんだな」
「それもまた合衆国への貢献だからね」
それでだというのだ。
「君達は君達のやるべきことを果たしてくれ」
「わかった、じゃあな」
「行って来るな」
「そうすることだ」
エセックスは最後まで紳士的な態度を崩さずそのうえで彼等を去らせた、他の桜の木は守られた、だが。
ワルトは彼等が倒した桜の木達を見てだ、エセックスに苦々しい顔で言った。
「四本だな」
「そうだな」
エセックスも苦々しい顔で応えた、その桜達を見ながら。
「殆どの桜は守られたけれど」
「たった四本って言うべきかな」
「そう、たったね」
本数は少ないというのだ。
「ここにある桜の総本数を考えたらね」
「少ないね」
「たった四本だよ、けれどね」
「その四本がだね」
「大きいよ」
僅かな本数である、だがそれでもだというのだ。
「途方もなくね」
「この四本の切られた桜達のことは」
「永遠に合衆国の歴史に残る」
エセックスは苦々しい顔をさらにそうさせて言った。
「消えることはないよ」
「悪い一行としてだね」
「この戦争は勝つよ」
エセックスははじまったばかりのこの戦争についてこう言い切った。
「枢軸国の全部を合わせても合衆国一国に勝てない」
「国力が違うね」
「押し切れるよ、普通にね」
それ故に勝てるというのだ。
「けれどそれでもね」
「このことはだね」
「合衆国の歴史に永遠に残る」
その負の部分として、というのだ。
「何があろうと消えないよ」
「そうなってしまったね」
「ハーストも、フー=マンチェも」
そしてだった。
「これからカルフォルニアで何が起こるかわからないけれど」
「あそこでも何かあれば」
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