第四章
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今はだ、これまで以上に楽しく思えた、それでだった。
ロバートは機嫌をさらによくさせてだ、こうベッキーに言った。
「とても。それにこれからも」
「これからもですか」
「こうしてここでボートを漕ぎたいですね」
「ではその時は」
ベッキーは笑顔でそのロバートに応えた。
「私もご一緒させてもらって宜しいでしょうか」
「貴女もですか」
「このお池が好きになりました」
ボートで中に入ることがだというのだ。
「ですから」
「そうですか。それでは」
「はい、これからはですね」
「若しお池の中に入られる時は」
その時はというのだ。
「お願いします」
「わかりました、それではここに来る時は」
「二人で」
このことを約束してだった、そのうえで。
二人はボートを楽しんだ、ロバートはこれまで以上に池もボートも楽しめた。そしてこの時から実際に二人でだった。
池でボートを楽しんだ、その風景も。二度三度と楽しんでいるうちに。
ベッキーからだ、こんなことを言ってきた。
「他の場所も」
「二人で、ですね」
「ハイネセンさん、いえ」
呼び方を換えた、その換えた呼び方はというと。
「ロバートさんの知っておられる場所に」
「案内して欲しいと」
「このお池もいいところですし」
「他にいい場所があればですね」
「はい、案内して下さい」
いつもの笑顔での言葉であった、優しく穏やかな。
「そうしてくれますか」
「わかりました、それでは」
ロバートも快く二つ返事で答えた、こうした時に断らないのが彼なのだ。
それでだ、ロバートはベッキーに自分が楽しんでいる様々な場所を案内した。公園だけではなく街の商店街や本屋、喫茶店にレストランにバー、映画館とだった。
二人で回った、するとだった。
やはりだ、一人でいる時よりもだった。
楽しく感じた、それで彼はこのことがわからず今も同僚のリチャードに言うのだった。
「今不思議なんですよね」
「ダイエットに成功したとですか」
「いえ、それはしていません」
そもそもダイエット自体をしていないというのだ。
「全く」
「ではどうして不思議なんですか?」
「今ですね、ある人と一緒に色々と回っているのですが」
「おや、そうなのですか」
「はい、そうなんです」
こう職員室で話すのだった、今は幸い職員室にいるのは二人だけである。他の先生は授業や出張でいない。
「それで一人でいる時よりも」
「その時よりもですか」
「どうもです。一人でいる時よりもずっと楽しく感じます」
「デートだからですか?」
今度も冗談めかしてだ、リチャードは笑って言ってきた。
「だからですか?」
「そうでしょうか」
ロバートは首を傾げさせながら答えた。
「デートだから」
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