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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百十五話 大義と利
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レ元帥。
宛、第一特設艦隊司令官エーリッヒ・ヴァレンシュタイン中将。
本官が負傷療養中の間、貴官を総司令官代理に任命する。貴官には直属の第一特設艦隊、並びに宇宙艦隊に対しての指揮権を委ねる」
「宇宙艦隊行動命令、貴官は委ねられた指揮権を用いて以下の命令を果たすべし。
一、 ヴァレンシュタイン総司令官代理は旗下の艦隊を率い貴族連合軍を撃破、自由惑星同盟の安全を確保する事。
二、 貴族連合軍撃破後、貴官はフェザーンへ進駐し地球教を根絶せしめる事。
三、 同盟領内にて政治的、軍事的に混乱が生じた場合、貴官はその持てる全ての兵力を使用して混乱を収め法秩序を回復させる事。尚、貴官が執る全ての行動はすべからく承認されるものである。貴官は最善と思われる行動を執られたし」
彼方此方からざわめきが起きた。反乱は予測されていた? ミハマ中佐が読み終えると総司令官代理はエベンス大佐に見せるようにと命じた。中佐が命令書をスクリーンに向ける。呻き声が上がった。
『馬鹿な、どういう事だ、それは。……何故そんなものがそこに有る』
エベンス大佐が喘いだ。同感だ、俺も驚いている。だが妙なのは艦隊司令官達には驚いている人間が居ない事だ。知っていた?
「シトレ元帥がフォーク中佐に襲われた時、裏に地球教が居るのではないかと思いました。狙いは同盟の混乱でしょう。追い詰められた地球教は同盟を混乱させる事に活路を求めた。指揮系統が混乱し貴族連合軍と潰し合ってくれればと考えたのだと思います」
『……何を言っている? 何故そんなものが有るのかを訊いているのだ』
エベンス大佐が反問したが総司令官代理は意に介さなかった。
「当然ですがそれが上手く行かなかった時は如何するかを考えたでしょう。帝国が当てにならない以上、次に狙うのは主戦派を煽っての同盟の混乱かテロによる混乱しかありません。どちらにしろ軍において絶対の存在であるシトレ元帥は邪魔だった。だからあの事件が起きた。……分かりましたか? 貴方達は利用されたのです」
エベンス大佐が愕然としている。無理も無い、総司令官代理の言葉が真実ならエベンス大佐達はうまうまと操られた事になる。
『馬鹿な、そんな事は有り得ない、有り得ない! 我々は崇高な大義の元に決起したのだ! 出鱈目を言うな!』
悲鳴のような声だった。総司令官代理が苦笑を浮かべた。
「出鱈目ですか、そう思いたければそう思えば良いでしょう。しかし愚かである事は認めたほうが良いですね。トリューニヒト議長が和平を、フェザーンの独立を表明したのは帝国との和平を本気で考えていたからですが同時に貴方達を焦らせ暴発させるためでもあった。トリューニヒト議長は全て知っています、だから貴方方は誰も拘束出来なかった……」
エベンス大佐は口を開け、そして閉じた。呆然として
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