SAO編−白百合の刃−
SAO14-聖紅の矛
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いつも通りにできるのか今の私にはわからない。
…………もしも。
もしも、なにかしらのトラブルがあった時、私は平気な顔をして行動をすることができるのかな?
例えば、私のせいで全滅する危機が訪れたら……。
「っ……」
ズキンと“あの日”のトラウマと、傷跡の衝撃が心を締め付け痛みが広がる、私は歯を食いしばり耐えようとした。そして思った。やっぱり、あの日のトラウマと傷跡は永遠に消えることがないんだと、改めて認識した。
わかっている。
あの日の出来事は絶対に忘れてはいけないことである。忘れない限り、深い傷は一生治ることはないんだと。
だから私は一生後悔をする。
忘れてはいけないことだから何度でも傷ついてしまう。
でも、それは困ったことだ。
もう一度、過ちを犯したら私は……。
「……眠れないの?」
想像もできない最悪な予想を消すかのように、背を向けたままドウセツが声をかけてきた。
「もうすぐ寝る……と言いたいけど、全然眠れない」
「そう……」
「ごめん」
「謝らなくていい。私も寝てはないわ」
「うん……」
痛みが抑えてきた。やっぱり、一人よりも誰かが傍にいてくれたり、声をかけたりしてくれると安心する。
それともドウセツだからなのかな?
わかんないけど……そうだな。今の私なら、ドウセツに話しても大丈夫かな?
「ドウセツがまだ起きているならさ…………ちょっと話がしたいんだけどいいかな?」
返答はない。もう一度聞き直そうとして名前を呼ぼうとすると、
「……いいわよ」
優しい声で受け止めてくれた。
「ありがとう……」
「例はいらない」
「そっか……ごめん」
「謝りもいらない」
「うん」
不器用で優しい一言が背中を押すように私は深い傷を抉る覚悟で、私の過去のことを話した。
●
翌日、私はドウセツが来る前にイリーナさんのところへ訪れた。今日から血聖騎士団の一員としての活動が始まる前に話したいことがあった。
イリ―ナさんがいる部屋の前に立ち、ドアに二回ノックして返答と同時に中に入る。
「失礼します」
イリーナさんは机に肘を置き爽やかで暖かい笑みを浮かべていた。
「おはようございます。イリーナさん」
「おはよう、キリカ。あら、制服……前と変わらないわね」
「基本的にカラーは変わりませんので……」
「そうだったわね」
挨拶を交わして、さっそく本題に入ろうとすると、イリーナさんは見覚えのある写真集を取り出し見せつけた。
「見たわよ、写真集。二人の意外な一面が満載だったわ」
「それはカメラマンの腕なので……つか、副団長でも見るんですね」
「部下達のはね。あと、からかいのネタにな
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