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とらっぷ&だんじょん!
第一部 vs.まもの!
第15話 ぶんなぐってやる!
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抜き、それで拳を受け止めた。
 手が痛いとも、何とも、ウェルドは思わなかった。
 石板越しに、燃える目と、冷めた目が睨みあう。
 ウェルドは力を抜いた。ディアスは石板を下ろす。
「……てめぇには情ってもんがねえのかよ」
「貴様の言う事がわからんとは言わん。感傷が現状を変えるなら幾らでも吠えていればいい。狂戦士化した者に責任をかぶせて全てがなかった事になると言うなら、好きにしろ。だがそれはいずれも何も生み出さない。違うか」
 正論だった。
 彼は間違った事は言っていない。
 だからこそ、余計にやりきれない思いが募り、腹立たしかった。
「……俺はいつか絶対てめぇをぶん殴ってやる」
「好きにしろ」
「もうその辺にしておいたら? 熱苦しい上に見苦しいわ」
 イヴに言われ、ウェルドは長い溜め息と共に、ノエルと背中合わせになって井戸の蓋に座った。
「いいじゃない、あたし達は無事だったんだし。生きてりゃどうにでもなるわよ」
「そうだな。喜べ、お前ら。生きてるだけでも幸運な事なんだぞ。狂戦士は獣と同じで、弱い者や怖気づいている者を狙う。本当ならお前たちが一番危なかったんだ。……本当によく全員無事だったもんだ」
「どうも。……みんなで、トラップで足止めしたり、色々したからな」
「トラップ?」
 クムランの緊張した声。
 空気が変わるのを感じた。
 顔を上げたウェルドは、バルデスも、クムランも、自分を凝視している事に気付いた。二人とも、表情は、怖い程真剣だ。
「街でトラップを使ったのですか? どういう事ですか……?」
 ウェルドは体を強張らせ、恐る恐る尋ねる。
「どういうってそのまんまの意味だけど……いけなかったんですか、クムラン先生? もしかして町の決まりで禁止だったとか……じゃないですよね? そんな話聞いた事ないんですが……」
「いえ、いけないと言うか――」
「そんな事は有り得ないんだ。これまで聞いた事もねえ」
 ウェルドには、その意味が理解できない。
「いいか、お前たち……。トラップは遺跡の中でしか使えない」
 バルデスの低い声が、告げた。
「町でトラップを使える筈がねぇんだよ」



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