第一部 vs.まもの!
第15話 ぶんなぐってやる!
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が、万一町が外界から忘れられる事があれば、全員飢え死にするしかねぇ。文字通り町全体が棺桶ってわけだ」
「ぞっとしねえな」
「いずれにしろ、この町の食料が貴重だという事には変わりありませんね」
話しこんでいたクムランとディアスが、ウェルド達の所に来る。
「ノエルさん、大丈夫ですか? 無理に食べてはむしろ体を崩してしまいます」
「俺が食ってやるよ」
ノエルは一つ頷くと、顔を真っ赤にし、ぽろぽろ涙をこぼし始めた。ウェルドは彼女の膝から皿を取り、堪らず顔を背けた。女の子が泣いているところなど見たくなかった。肉は味気なかった。
「お前は大丈夫そうだな」
ウェルドは食事をのみこみながら、バルデスに向かって肩を竦める。
「学費を稼ぐために長らくセフィータで用心棒をやってたんでね。修羅場には慣れてるよ。食える内に食って寝れる内に寝る奴が最後に生き残るんだ」
「よくわかってるじゃないか」
「ウェルドさーん!」
サラが朝日の道を走ってきた。腕に粗末な木箱を抱えている。
「ウェルドさん、ノエルさんも! よかったぁ、無事だったんだね!」
「おう、何も心配いらねえぜ」
木箱の中には、汚れた皿が入ってる。回収して回っているのだ。
「しっかし、サラちゃんはよく働くなあ。大丈夫か? 昨夜あんな事があったばっかりで――」
「ううん、いいの! あたしみんなと一緒にいて、動き回ってる方がいいんだ!」
そうでないと、明るく振る舞っていないと、怖くて仕方がなくなるのだろう。サラが無理をしているのはどことなく伝わってきた。それがウェルドには辛かったが、口出しはできなかった。
「そっか、そういう事ならな……。でも体壊す前に休めよ。飯、うまかったぜ」
「それ作ったのオイゲンさんだよ」
「あー、そうか。道理でマズいわけだ。豚の餌並みだ」
「パンを焼いたのはあたしなんだ」
「おう。パンだけすげえ美味かった」
「ウェルドさん、何だか言ってる事が違うような……」
「気のせい、気のせい! ってか、皿回収してるんだよな。重いだろ。箱、持つぜ」
「いいの! 大丈夫! お皿の他にも、ゴミとか、要らない物があったらこの中に入れてね。ディアスさんは大丈夫?」
「要らぬ物か」
と、ディアスはウェルドの背後にまわり、片腕と頭をがっしり押さえて箱の中に突っ込もうとした。
「だああああああっ! 放せ! てめえ! 俺をゴミ箱に捨てるんじゃねえ!!」
「流石に入りきらぬか」
「そういう問題じゃねえっ!!」
ディアスはぱっと手をはなし、
「冗談だ」
「程度ってもんがあるだろっ! てか冗談なら笑え! 何だその超真顔は!」
「笑い方など忘れた」
なんか今さらっと重い告白をされたような気がするがスルーし、
「てかお前でも冗談言う事があんのかよ、何でそれが
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