第三章、その4の1:策謀の実行
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手を掛けた。無論、頂上の部分である。そのまま身体を横倒しにするように捻り、静かに足を段に降ろした。
「・・・へへ、お宝ぁ〜、お宝ぁ〜。私を誘う悦びよぉ〜い、今からお前を食べちゃうよ〜」
下手な歌を勤しみながらパウリナは鍵を戸口の錠に差し込んで捻り、それを外してからさっと戸を開けて己を滑り込ませる。最後の最後まで警備員の注意は向かなかったようだ。
(流石あたしっ!本当についてるぅ!)
パウリナは幸運に足を進ませる。薄明かり、埃を粉雪のように散らす部屋には甲冑や刀剣の類が置かれていたが盗むには大き過ぎた。パウリナは部屋の本来の入り戸を開けて、更に奥へと進む。
隣に設けられていたのは、見栄えを意識した開放的なフロアであった。まるで貴族の豪勢な館である。二階部分はバルコニーのように作られており、階下の大きな広間を見渡す事が出来る。二階最奥の部分に螺旋式の階段が備えられており、手摺には埃を被っていた。
埃を被っていないものとしたら、つい最近運ばれたばかりの宝具の品々だけであろう。それらは一階には木箱として、二階にはチェストとして納められているようだ。パウリナは手近なチェストに近寄ってそれを開ける。目も眩まんばかりのアミュテットと指輪の光輝が、彼女を歓迎した。
「神様愛してるっ」「神様どうもっ」
瞬間、何故か重なった言葉に硬直する。間を置いた後に其処へ向く。一階、壁際の木箱にて自分と同じような態勢をした、虎柄の刺青をした男と目が合った。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
思わず走る沈黙に閉口する中、一階の戸が勢い良く開かれた。焦燥と怒りを抱いたその顔は、警備の者特有のものである。
「おっ、お前達!!一体何をやっている!!」
何をやっていると聞かれて、盗賊をしていますとは答えられない。そもそも初対面の相手には挨拶が肝要である。てんぱり始めた思考でパウリナはそう至って口を開いた。
『こ・・・こんんちわぁ〜』
時同じくして呟かれた虎男の声に、パウリナは奇妙な一体感を感じた。
「矢張り心配だな・・・何をしでかすか分からん」
人混みの動きに合わせながら身を進ませるのは、ローブで己を隠したユミルであった。仕事をパウリナに託して通りをぶらぶらと歩いていたが、途中から彼女に対する不安が湧いて出たのを切欠に元来た道を戻っていた次第である。
(しかしなんだこの人混みは・・・。行軍中か何かか?信じられん密集率だ)
時は昼過ぎ。人々が腹を空かせている頃合に幸いとばかりに空腹を誘う香ばしい薫りが、所狭しと設けられた屋台から立ち込めている。お陰で通りは網に掛かった小魚のようにごった返している。まともに歩くのすら難しい程である。
自分には如何にも出来ぬ
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