第三章、その4の1:策謀の実行
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、周りに立ち込める石段の反響を頼りに慧卓は必死に足を動かしていく。
数分にも及ばんかという格闘の末、漸く最奥の扉へと辿り着く。息を整えずに慧卓は扉をぐっと押し開いた。高所故のぶおっと吹き抜ける風が紅潮した頬を冷ましてくれる。
そして慧卓はその視線の先に、片方の手に杖を持ち、もう片方の手を聖鐘に当ててそれを仰ぎ見る、一人の男の姿を捉えた。
「おい''お前っ!其処を動くんじゃな''い''!!」
「・・・誰かね、君は!」
激しき声に男は振り向く。不遜に睨み据えて来る男は若く、それでいて理想に燃える瞳をしていた。男はその杖を慧卓へと力強く向ける。禍々しき光を帯びていく杖の赤い宝玉。
慧卓は思わず、自らが手ぶらで得物が無い状態にある事を後悔した。だが既に引くには引けない状況だ。そっと腰を落として身構える。後はもう、なるようになるしかない。やけっぱちの精神を見せながら、慧卓は眼前の敵を油断無く睨み据えた。
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