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王道を走れば:幻想にて
第三章、その3の3:三者の計画
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き来が激しくなってますから。多分近いうちに何か大きな催し事をするんじゃないかって私は読んでいるんです。必定、教会側に宮廷の手が回らなくなる」
「成程。つまり役人や警備の目が緩んでいる隙に・・・」
「えぇ、光物を頂きます」

 悪戯っ気のある口調で物騒な言葉を紡ぐパウリナ。不敵な瞳には先の失敗を挽回しようと心を燃やす、一人の盗賊としての強かな矜持が窺えており、彼女の決意の程を見て取れた。パウリナは何処に仕舞い込んでいたのか、何処からともなく大きな袋を取り出してユミルに押し付ける。

「と、いうわけで御主人。これちょろまかしてきたんで、早速着替えて下さい。御主人用に調整してますから」
「・・・これはなんだ」
「教会の遺物搬入を手伝う神官の服装ですよ。当日は御主人が中に潜って、内側から手引きしてもらいますから。さぁさぁ早く!」
「・・・帯剣は許されるんだろうな?」
「どっかに隠して下さい」
「・・・なんなのこの子」

 納得のいかぬ様子で頸を傾げるユミルを無視するかのように、パウリナはまだ見ぬ宝玉の重みと美麗さを想像してか、愉悦色の笑みを見せて聖鐘の方を見詰めた。
 頭三つ抜きん出て聳え立つ鐘の直ぐ傍らに教会は立っている。白煉瓦の整然とした外観のそれは夕暮れの赤味を半身に帯びて、その背中を聖鐘の方へと隠している。内に秘めたる財宝の存在を誇示するかのように外壁を輝かせているのを、パウリナの猫のように窄まった瞳は確りと捉えていた。 






 日が落ちて、空に深海の蒼がみっちりと覆い被さる時刻。夜空に轟くのは虫達の求愛の合唱と、野良犬の遠吠え、そして酒乱共による意味の無い罵声だけであった。それももう少し時が経てばすっかりと寝床に潜まるであろう。 
 一方でそんな夜にこそ眠りに就かず、遊びに興じる者達も居る。此処、『キールの麦』という名の宿屋でもその光景が見られていた。一階では遅まきの酒飲みが、二階の一室ではトランプ遊びが。

「諸君っ!喜び給え!決行の日取りが決まったぞ!!!」
「ホラ、ジャックのフォーカード」
「ビーラ。それはダウトだ」
「・・・俺の負ケカ。中々どうして観察力ニ優れる奴ヨ」
「ふっふーん。盗賊稼業この道ウン十年の俺を舐めないでくれよ?人と物を選ぶセンスだけは良いからねぇ。だから俺の股間のダガーもまだ錆び付かないでいられる。あんたもどうだい、一緒にセンス磨かないかい?」
「私のダガーは上質ナンダヨ」
「聞き給え”ぇぇ、諸君”っっっ!!」

 寝台に胡坐を掻いてライアーダイスのカード版に興じていた二人は、醒めた視線でその声へ振り向いた。窓縁に腰掛けて瞠目している青年、チェスターは二人の仲間の呆気の無い態度に怒っているようだ。

「どしたい、棟梁。そんな涙目になって。失恋でもしたのかい
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