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王道を走れば:幻想にて
第三章、その3の3:三者の計画
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からね。お陰で見て下さいよっ、この金貨の数々を!超キラキラしてますよね!!」
「ああ、そうだな・・・」

 パウリナは盗品を入れた袋の口を開いた。中からは満月のような形状をして、『マイン王国の更なる繁栄を祝賀する』という文言が書かれた、茜色の光輝を見せている金貨が覗いていた。十枚程度だが。

(もしかしてこいつ・・・盗む相手を選ぶセンスが無いのか?) 

 力無い乾いた笑みを零して瞳を困らせるパウリナに対してユミルは思う。そうでなくば今頃自分達はこの程度のものではない、真の価値を有した宝飾品と貨幣の小山を担いでいるであろう。本業が盗賊でないユミルとしては甚だ不快ではあったが。
 パウリナは袋を屋根に置いて、打って変わってからからとした笑みを浮かべて懐の内を探り始める。気持ちを直ぐに切り替えるのがこの娘の取り得であるようだ。

「んじゃぁ次の盗み場所を教えましょうっ!」
「お、おいちょっと待て!俺の用がまだ始まってもいないーーー」
「でも唯の人捜しでしょう?盗みの片手間でぱぱっと片付くかもしれませんって!内壁の外側は粗方探して見付からなかったんですよ?此処は内壁の内側ですから、人も限られてきますよ」
「・・・何故だろうな。日を重ねるうちにお前という女にどんどんとむかついてきた・・・」
「それも気のせいですって!慣れれば諦めるようになります!」
「熟年夫婦じゃないんだぞ」
「じゃぁ次の場所を教えますねっ。次はぁ・・・」

 抗議の声をさらりと受け流して、パウリナは懐から一枚の紙切れを取り出して広げてみせる。壮麗な金色の表題が踊っている。

「じゃんっ!此処です!!」
「・・・教会の、『拝礼の儀』?」

 愛くるしさを感じさせる可憐な笑みを見せるパウリナが提示したのは、一種の勧告書であるらしい。教会の枢機卿から教会に密接に関係する信徒達、そして神官達に宛てたものであるらしい。
 詳細を約すと、以下の通りとなる。『一週間後の拝礼の儀には王国内から集めた遺物や古物を公開する予定であるため、余暇を持て余す者が居れば是非にもその搬入作業に協力されたし。搬入作業は前日の朝方から夕刻にかけて行う予定。尚、これは慈善事業の一つであるため無理な協力は要請しないものである』。

「・・・教会の宝飾品か」
「狙っているものを正確にいうと、此処に持ち込まれる遺物の一部ですね。教会の手中にあるだけあって小さな石像や儀礼用の衣装だったりが多いんですが、中には儀式そのものには使わないであろう、儀礼用のアミュレットなんかも持ち込まれたりするんですよ!」
「何故そんな事を知っている?」
「神官を買収しましたけど、なにか?」
「屑・・・いや、続けろ」
「どもども。んで、なにやら最近妙に宮廷の方でも騒がしくなってるようですよ。馬車や人の行
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