第五十二話 思春期E
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だり、とある友人たちの行動力のすごさに驚いたり……。むしろ、さらに頬が引きつった。
頭の中でまとめるのが苦手だったことを先に思い出し、それなら口に出してみようと考える。この際、苦笑だろうと、失笑だろうと、なんだっていい。バカなことをやっている、と呆れたような笑みでもいい。いっそ、声だけでも笑い声を出してみるのも1つの手かもしれない。
「あー、えっと、面白いこと……ギャグとか、か? ふ、ふとんがふっとんだー。こんどるがめりこんどるー。あ……あははは、ははっ…ははははは―――」
様々な商店が並ぶ場所、商店街。それなのに、何故か人通りが少ない一角。だからアルヴィンは、練習に最適だと思って行動したのだ。だが、冷静になって考えてみると、何かがおかしいことに気づく。何故、休日の商店街なのに、ここだけ客足が少ないのか。
その答えは、すぐ後ろにあった。
「…………」
「…………」
巨大で、道の半ばぐらいを塞ぐようなはた迷惑な置物が、堂々と鎮座していた。その置物には、そのお店のおすすめ商品が吊り下げられ、異様な空間を作り上げている。和洋混じったテレビの音が響き、野球やらサッカーグッズなどのスポーツ用品が並び、何故か全身スーツから日用品まで売られている。混沌すぎて、何をしたいのかがわからない。
そんなお店から、視線を感じた。いや、その店の入り口付近で、ちょっと前に管理局の局員からもらった、撤去願いの用紙を握っていた人物からの視線だった。後ろを振り返ったアルヴィンと、その従業員はちょうど目が合ってしまい、無言の時が流れた。
「……こんちわ」
「……あぁ」
ナチュラルに始まった奇行を目撃してしまったエイカと、今回ばかりはさすがに穴に入りたくなったアルヴィンは、アイコンタクトでお互いにさっきまでのことをなかったこととして処理し合った。
……もちろん、これ以上ないほどに、気まずかったのは言うまでもない。
******
動きやすさを重視した服に、長ズボン。夏以外はいつも身に着けている薄手のコートは、今は店の中に置いてある。彼女の少し明るめの茶色い髪は、光の反射で赤く見えることもあった。アルヴィンより少々長いだけの短めの髪と、意志の強そうな瞳を持つ子どもは、パッと見ではなかなか性別を判断しづらいだろう。
アルヴィンですら、最初は口調のこともあり、男だと思っていた。首からかけてある銀色のペンダントぐらいしか、装飾はない。時々出てくる少女らしい反応以外は、男友達と遊んでいると思うぐらいだろう。それぐらい、彼女はさばさばした性格であった。
子どもであるためか、性格なのか、彼女は自分の欲求には割かし素直だ。アルヴィンも似たようなところはあるが、彼は考えてから行動に移すことが多
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