第五十二話 思春期E
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ただけなのだ。そのことに、気づけた。
アリシアに言われたことは、間違いではない。言われても仕方がない真実だ。だけど、アルヴィンはアリシアの言葉に対して、何も返していない。言葉も行動も、何も。本心をさらけ出してぶつかってきた相手に、偽った言葉など何の意味もない。
目には目を。歯には歯を。本心には本心を。それ以外に、相手と同じ立場に立つ方法はない。
「なぁ、エイカ。俺とアリシアは現在進行形で、絶賛喧嘩中だ」
「ん? あぁ、そうだな」
「うん、だから決めたんだ。今から俺は、……真正面からアリシアと、もう1回喧嘩をしてくるッ!」
「…………は?」
理解不能。しかも喧嘩をしに行くのに、なんでそんなに嬉しそうなのか。完全にいつもの調子を取り戻したアルヴィンに、エイカは額を抑え、溜息を吐いた。慣れないことをしたと自覚しているため、疲れがドッと来たのだ。
人を疲れさせておきながら、へらへらと笑う友人の頭を、とりあえず一発ペシッと叩いておいた。最初に彼と会った時から胸に渦巻いていた怒りは、晴れ渡った空のように綺麗に消えていた。
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