暁 〜小説投稿サイト〜
少女1人>リリカルマジカル
第五十二話 思春期E
[13/14]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話

「……それじゃあ、エイカは納得できるのか。そいつが世界最強で―――」
「お前、1つ勘違いしてないか」

 呆れたような声で、目で、エイカは黒色の瞳を、見据えた。


「この世界の人間、舐めてんじゃねぇよ」

 そして、ただ一言、言い放った。

「納得するか。嫉妬なんて可愛いもんだろ、反骨精神を舐めるな。力を持っているやつは、持っている。それに納得はしても、下に甘んじ続ける訳がないだろうが。例え本当に世界最強なんて力を貰ったとしても、貰っているだけのやつに負け続けるアホなんていねぇよ」
「……え」
「文句を言ったり、傷つく暇があるなら、いかにそいつを蹴落とすかを考える。10人中9人は、お前が言うようにずるいと言って、その力の前に甘んじるかもしれない。だけどな、10人中1人ぐらいは、世界最強の座を目指してくるかもしれない。武術、魔法、技術、戦略、人脈、知識、金銭、あらゆるもので仕掛ける。どんなにすごいものを貰っていようと、それを超えようとする人間ぐらいいるだろ」

 古代ベルカ時代なんて、まさにそんな感じだ。反則級の兵器や魔法が作られ、それで世界を滅ぼし、それに対抗して、更なる反則級を相手が作り上げる。それの繰り返しだった。

「そんな人間たちがいるにも拘らず、ずっと世界最強になり続けているのならば―――それは、もはやズルでもなんでもねぇよ。実力だ。貰いものだろうと、なんだろうと、それが1つの答えなんじゃないのか」

 貰いものは、どれだけいっても貰い物。だけど、それを自分の持ち物にできるかは、本人次第。武器は装備しないと意味がありませんよ、である。当たり前の、本当に当たり前の答えに、アルヴィンは言葉がなかった。

 エイカのように、神経が図太く、唯我独尊的な考えを持っている相手なんて、少ないだろう。そう、……少ないのだ。いないわけじゃない。貰い物の凄い力だろうが、それがどうしたと粉砕してくる相手がいるのだ。そんなズルを許容してしまうような、バトルジャンキーの巣窟。さすがは次元世界。

「エイカさん、それ成り上がり思考がすごすぎね? 俺びっくりしすぎて、価値観が混乱中だよ」
「はっ、わけがわからねぇ質問をしたのは、お前だろ。まぁ、てめぇ程度なら、例えどんな貰い物をしていようが、俺が踏み台にできそうだけどな」
「……うわぁ、ひっでぇー」

 エイカの言葉に、笑った。心から笑えた。おかしくて、涙が出そうになった。


「下らねぇ話は終わりだ。それで、妹とどう話を付ける気だ?」
「……そうだな」

 先ほどまで散々悩み続けていたこと。だが今は不思議と、すっきりしていた。エイカが先ほど言っていた通り、自分は逃げていただけだった。アリシアが傷つくからって、原因を相手の所為にして、自分が傷つくことに怖がってい
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ