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少女1人>リリカルマジカル
第五十二話 思春期E
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か、苦労性というか、もうデバイスの仕事じゃないよね、的なことが思い浮かぶが、気にしないであげることが一番だろう。

『……おそらく、アリシア様自身が、知っている場所を避けているのかもしれませんね。学校やちきゅうや、公園にご友人方の家。そのどれとも離れています』
『ねぇね、誰とも会いたくないのかな…』
『そうかもしれませんね。でも、アリシア様を放っておく訳にはいきません。僕たちに何ができるかはわかりませんが、傍にいてあげることはできます』

 アリシアに拒絶されるかもしれない。それはウィンクルムにとって、かなりの痛みを伴うことだろう。コーラルはできる限りそうならないように立ち回るつもりだが、いかんせん情報が足りない。プレシアからの連絡で、「アリシアが魔法の練習をしていて、魔法が暴発してしまい、病院で休んでいる」という簡単なことしか聞いていなかったからだ。

 アリシアの魔力資質は、コーラルも知っていた。だから、それが原因ではないかと推測はしている。しかし、それならば母と娘の喧嘩になっているのが自然ではないだろうか。プレシアが2人に魔法を教える時に、危惧していたことが起こってしまった。アリシアの怒りが、自分を産んだ母に当たってしまうことは予想がついたからだ。

 それなのに何故、兄妹喧嘩のようなことになってしまったのか。病室の雰囲気的に、アルヴィンとアリシアの間に何かがあったのは間違いない。コーラルは、それが不思議だった。言っちゃなんだが、コーラルの主の神経は相当に図太い。大抵のことは笑い飛ばすし、怒られてもめげないし、落ち込んでも少しすれば復活する。誰もが認める超マイペースだった。

 そんな彼が、笑えていなかったのだ。悩みがあっても、困っていても、笑えていた彼が、笑顔を作ることができなかった。コーラルとしては、アリシアに怒りを向けられれば、落ち込みはしても、笑みを崩すことはないだろうと思っていた。「ごめんな」と言って、困ったように笑いながら、妹の怒りを受け止めるだろうと思っていたからだ。

 それぐらい、コーラルの主は取り繕うのが上手かった。

 アリシア様、一体どんな地雷を踏んだのだろう…。もしコーラルに身体があったら、冷や汗を流していたかもしれない。あのマイペースをあそこまで落ち込ませた妹様に、ちょっと戦慄する。軽い現実逃避であった。


『……おや?』

 ふと、コーラルはアリシアが向かう進路に意識がいく。この先は、住宅地や商店街から離れ、クラナガンの魔法研究所などが並ぶ仕事の区間であった。会社や研究施設、工房などが見え始め、休日ということもあり、人通りが少ない。今この区間にいるのは、それこそ残業に発狂しそうな可哀想な人か、仕事大好きなワーカーホリックぐらいしかいないだろう。裸足であるため舗装された道を通り、人
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