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王道を走れば:幻想にて
第三章、その1の3:方々に咲く企み
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直後の鉄剣のように興奮していた。
 そして隣に立つ鱗の男は顔を俄かに上げて、狼のように研ぎ澄まされた鋭利な感覚で大いなる自然の律動を感じる。

(・・・風が、吹ク)

 ぼぉっと、砂塵のように強く吹きつけた風が王都の石壁を叩き、男達が居る部屋の中へも侵入して空気を循環させる。その勢いで鱗の男のフードがばっと脱げた。顕になったその肌は森林のような碧を湛え、顔全体に葉の絨毯のように鱗が生えている。三白眼の瞳からは人にあらざる、表裏の無い赤い瞳孔が煌いており、顔に弧を描く戦化粧も併せてとても印象的である。
 男は人にあらざる、獣の類であった。だがその引き締まった容姿は例え人から見たものとしても、非常に整ったものであった。
 風が一つ、王都を駆け抜けた。


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