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ドリトル先生と京都の狐
第六幕その八

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「何度も日本に来ているうちに」
「じゃあその揚げもね」
「今度作ってみるわ」
 こうお兄さんである先生に答えました。
「そうしてみるわ」
「そうしてみるといいよ、とにかくね」
「ええ、京都を満喫してきたのね」
「とてもね。楽しかったよ」
「それじゃあ私も今度ね」
 サラは微笑んで言いました。
「京都に行ってみるわ」
「そして楽しんでくるといいよ」
「私も狐に会えるかしら」
 先生達が会ったその狐にです。
「そうなれるかしら」
「ううん、どうかな」
「それはなの」
「ちょっとわからないね」
 先生はティーセットのスコーンをお口の中に入れつつ妹さんにお話しました。
「そこまではね」
「そうなのね」
「そう、けれどそれでもね」
「京都はなのね」
「楽しめるよ」
「それじゃあ私はね」
 サラは期待するお顔になっています、そのうえで言うことはといいますと。
「映画村に行きたいわ」
「あっ、時代劇の撮影で使う場所だね」
「実は時代劇好きなのよ」
「へえ、意外だね」
「特に忍者がね。子供達も忍者が大好きだから」
 それでだというのです。
「私も行ってみるわ」
「そうするといいよ、それじゃあね」
「兄さんも今度行ってみたら?」
 その映画村にというのです。
「面白そうじゃない」
「そうだね、今度京都に行った時はね」
「行ってみるのね」
「そうしようかな」
 こう答えた先生でした。
「時代劇もいいしね」
「そうでしょ、如何にも日本で」
「うん、それにしてもサラも」
「私が?どうしたの?」
「随分変わったね」
 サラそのお顔、イギリスにいた時と変わらず童顔で可愛らしいお顔を見ての言葉です。
「日本に親しんでるね」
「いや、それはね」
「それは?」
「兄さん程じゃないわ」
「ああ、僕はね」
「もう完全に日本人じゃない」
 そう見えないのはそれこそ髪の毛や目の色だけです。
「服装だって」
「この服だね」
「日本人にしか見えないわ」
 今の先生は洋服を着ています、ですがその洋服はイギリスの洋服ではありません。日本人がデザインして日本人が着ている洋服です。サラはその洋服を見て言うのです。
「本当にね」
「そこまで馴染んでるかな」
「馴染み過ぎよ、スーツは着てるの?」
「うん、学校ではね」
 それは守っているというのです、今も。
「先生としてね」
「だといいけれど」
「けれど普段はね」
 ラフな格好だというのです、ノーネクタイの。
「こうしているんだ」
「それで食べるものもなのね」
「そう、紅茶とティーセットは欠かさないけれど」
 それでもだというのです。
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