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王道を走れば:幻想にて
第三章、その1:冷え込んだ拝謁
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頃には昼餉の時間となっていた。朝とは違ってボリュームのある昼食を頂きながら熊美とアリッサは話す。  

「あの執政長官、中々食えない相手ね。歴戦の勇士でもあんなに鋭い瞳は出来ないわよ」
「あの方も、嘗ては一人の戦士でありました故」
「へぇ、そうなの」
「尤も、初陣で深手を負い、それが原因で文官に転向せざるを得なくなったようです」

 コーデリアとハボックは此処には居ない。拝謁の他にまだ政務があるらしい。事後報告、といったところか。
 慧卓が昼食を進ませぬのに気付いたか、二人が話し掛けてきた。 

「大丈夫、慧卓君?さっきから何も食べていないわよ?」
「ケイタク殿。お口に合わぬ料理でありましたら、直ぐに作り直すよう料理人に命じます。どうぞ遠慮なさらずに」
「・・・いや、そういう訳じゃ無いんですよ」
「じゃあどういう訳なのかしら?ほら、このスープ美味しいわよ」

 慧卓は真剣みのある顔付きで彼らを見返した。一瞬たじろぎつつも、二人は彼の言葉を待つ。

「今晩、晩餐会ですよね?」
「そうだが」
「貴族の方々も一緒に参られる予定なんですよね?」
「当然よ。何せ国王陛下の名の下に開かれるのだから。其処に参上しないのであれば王家に対する忠誠が疑われるんじゃない?」
「時に招待状を贈り、それに応えるというのもあるが、結局のところ絢爛と豪勢を尽くすのには変わりない」
「って事は、出される料理も王国一のもの、って事ですよね?」
「・・・貴方」

 慧卓は和気のある笑みを貼り付けて続けた。

「じゃぁそれまで御飯は出来るだけ我慢しなきゃ駄目ですよね!!」
「貴方・・・さっきまで結構ビクビクしてなかった?」
「そうだぞ、ケイタク殿!宴には国王陛下が出席なされるんだ、緊張感というものを持ち合わせてくれ!仇の話をされた後から口を噤んでいたと思いきや、急に御飯に浮き浮きというのは如何なものだろうか!」

 アリッサの言葉を受けて、慧卓は溜息と共に笑みを消し、手に持っていたスプーンをスープの皿に置いた。気まずげなアリッサを他所に彼は語る。  

「・・・確かに悪い事をしたとは考えました。俺のせいで息子さんを殺したようなものですから・・・。でもブルームさんが『胸を張れ』って言っているんですよ?大切な息子さんを亡くされたというのに。これに応えなきゃ俺、どんな顔で王都を歩いたらいいんですか」
「・・・そんな直ぐに、割り切れるのか?」
「割り切れませんよ、自分のせいで人が死ぬなんて!・・・でも今の俺に出来るのって、これしかないじゃないですか」
「・・・御免なさい、深くまで聞きすぎたわ」
「・・・いえ、此方こそ。怒鳴ったりして御免なさい」

 素面を見せた騎士の静かな謝罪に、慧卓もまた謝罪を返す。
 アリッサは沈黙を作
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