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王道を走れば:幻想にて
第二章、終幕:初旅の終わり ※エロ注意
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る。
 立ち並ぶ石柱の陰に身を置くように歩いていると、中庭にて絢爛としたローブを着た二人の者が慧卓等を見やり、囁きあっていた。
 
『あれがそうか?』
『うむ。伝説に相違ない巨漢だな、クマミ殿は。流石羆の異名を取るだけある』
『して、隣の者が件の若人という事か。なんとも、脇に隙がありありと見える稚児だな。野狼ですらもう少し凛々しいものを』
『然り』
(・・・むず痒い視線だなあ)

 気を紛らわすようぽりぽりと指の腹を合わせて擦る。 
 回廊を奥へ奥へと進んでいくと、仄かに熱篭ったような空気が流れてくる。その空気は、クィニが案内した二枚の扉の向こう側より流れているようであった。

「此方にて、湯浴みを御用意させております。ケイタク様は、左手の方へ。クマミ様は、右手の方へとお進み下さいませ」
「はぁ、個人個人で別れるんですか・・・分かりました」
「じゃ、後でね」

 男湯ならば混浴で良かったのにと慧卓は思いつつ、扉を開けて中へ入ると其処に緩やかな階段が続いていた。階段を下りて進むともう一つの扉が。頸を傾げて其処を開き、慧卓は硬直する。 

「御待ちしておりました、慧卓様。本日は私、侍女のリタが、御奉仕させて戴きます」
「・・・・・・ぉぅ」

 慎ましき美しさを顔に乗せた、金髪碧眼の美人が其処に居た。一枚布の白い外套を身体に巻きつけ、右肩あたりから先を露出している。即ち潤いのある腋の部分に加えて麗しき双丘のうち片方のほうは、側面が僅かに見えてしまうのだ。外套は繊維がキメ細やかなのであろう、美しき光を放っているようにも見え、心なしか女性の肉体を強調しているようにも見えた。薄暗い街角にひっそりと佇めば、純潔の花園の如きその女性に男達は己の夢想を押し付けるだろう。
 リタと名乗った涙黒子の女性は、一つ瞬きを挟んで言う。

「如何なされましたか、ケイタク様?・・・まさか私、御不快な思いをさせてしまわれましたか?」
「いやいやいやっ、そんな事は無いですよ!?唯吃驚しただけですからっ!!いきなり綺麗な美人さんが現れて御奉仕だなんてそんな・・・」

 慧卓は半笑いを浮かべて弁明する。その笑み、驚愕も無論入っているが一縷の淡い期待もまた入っているのをリタは見抜く。

「・・・成程、そういう意味で捉えてしまわれましたか。ですが申し訳ありません。その手の御奉仕は侍従長より、『その手の行為は無碍に御体を疲弊させてしまうため硬く禁じる』との御言葉がありますので。どうぞご了承下さいませ」
「えっ!?あっ、そうなんだ・・・なーんだ、はははは・・・はぁ・・・」

 嘆息する慧卓を他所に、リタは一つの籠へと手を向けた。 

「御召しになられている衣服等は此方にてお纏め下さいませ。準備が出来ましたらどうぞ中へ。先にお待ちしておりま
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