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王道を走れば:幻想にて
第二章、終幕:初旅の終わり ※エロ注意
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『総員、気を付けぇぇっ!!!!!』

 凛とした小隊長の大声に続くように、ハボックが威厳ある顔付きで石壇に上る。重厚な見た目の鋼鉄の鎧と深い黒に染まったマントが、此の日此の時に、更なる泰然さを彼に与えていた。 
 ハボックは後ろに手を組み、兵達を悠然と見渡す。

『諸君。王国に忠を為す、誉れ高き討伐兵諸君』

 演説は落ち着き払ったトーンで始まった。冷静さを孕んだそれはそれでいて自然と腹に力の篭ったものであり、雑音ひとつ紛れない広場によく通るものだ。兵達の背筋はそれを聞いてか弛み一つ見受けられず、ぴんと筋を張っている。

『山賊の暴挙を正すべく、鉄刃を帯び、厚き鎧を纏う兵士諸君。係る任務に際し、諸君らは見事にその任を為した。諸君らの奮闘の甲斐あって、悪しき所業を積み重ねた忌まわしき山賊団は壊滅した。諸君の誉れ高き武勲により、王国の臣民は安心と誇りを抱き、王国の名誉は一段を高まるであろう』

 兵達に対する信頼と確信に満ちた言葉。同時にそれは王国に生きる尊き臣民を守るという、王国兵の矜持を通じて、彼らの魂に厳かに伝わる言葉である。

『天におわす主神の御加護を、主命を、諸君らは見事に全うしたのだ。悪しきに糧を貪るべからず、信仰の麦を育てるべし。敬虔なる諸君らの主神への信仰は、疑いなく天上の主神の下へ届き、遍く王国を照らす光となろう』

 幾人かの兵士がそれを聞き、胸震わすものを感じたのか表情をぐっと引き締めた。慧卓は彼らの鎧の内に、この世界では到底見られぬであろう十字架のロザリオを幻視する。  

『同時に私は、再び異界より顕現された二人の戦士、クマミ=ヤガシラ殿と、ケイタク=ミジョー殿に感謝をせねばならない。御両名の活躍により、山賊の砦は無力化され、山賊団の団長は地に伏せた。私ハボック=ドルイドは王国兵を代表して、両戦士の勇気と武勇に対し、深き謝意と敬意を抱くものである。・・・有難う御座いました』

 壇上よりハボックが両名に向けて軽く一礼をする。馬上のままに、二人はそれに向かって礼を返した。 
 ハボックがひしと表情を引き締め、瞳に僅かな愁いをこめて続ける。

『・・・そしてこの任務に際し、我等は哀惜の意を表さねばならない。ロバルト=フォン=ブルーム、ウージン=マクドナルド、ジェフ=ランカスターの三名は果敢にして見事な最期を遂げた、当に王国兵の鑑ともいえる者達であった。私は諸君らの心を代表し、此処に心より追悼の念を込める次第である』

 慧卓は口端を僅かに開き、驚きの息を静かに零した。あの場において慧卓の咄嗟の機転によって戦況が一気に且つ敏速に転換したが、しかし戦場ゆえに、確かに戦死者が出ないというのは不自然なものといえるのであろう。味方の死の臭いに気付きもしなかった事に、慧卓は後からではあったが情けなさ
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